第11話祐は叔母美智代の店に行くことになった。

恵美の話は続く。

「ねえ、祐ちゃん、いつなら空いているの?私、美咲に言わなければならないの」

「祐ちゃん、都内に慣れていないから、お迎えに行くよ」


祐は、また困惑。

「そう言われてもね、いきなり見知らぬ女の子とデートは無理」

「何を言っていいのかわからないもの」

「そもそもデートって、ある程度親しくなってからするものでは?」


次の瞬間、「キャッと」恵美の声、そして電話の相手が、叔母美智代に変わった。

「ごめんね、祐ちゃん、恵美が先走って・・・」

「全く、今時の女子高生は、乙女の恥じらいも何もない」

「恵美の話は、聞き流していいから」

「お尻蹴飛ばして、追い払ったよ」


祐は、ホッとした。

「いえ・・・とても無理で」

「恵美ちゃんに、よろしく」

と無難な言葉。


叔母美智代は、「アハハ」と笑い、話題を変えた。

「ところで、祐ちゃん、今日の夜は空いているの?」


祐は素直。

「はい、特にありませんが」


叔母美智代は、うれしそうな声。

「だったら、うちの店に来なさい」

「ご馳走してあげる」

「ねえ、いいでしょ?」


祐は、断れなかった。

「わかりました、日本橋でしたね」

「楽しみに、夕方には行きます」


話がまとまり、叔母美智代は、「はぁい、お待ちしています」と、長い電話を切った。


祐は、スマホを手に路線を懸命に探索している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る