第7話
翌日。
カーリーはメイドに言って、市場であんずを買ってきて貰った。
「カーリー、何か作るのですか?」
母親のクレアの質問に、カーリーは機嫌良く答えた。
「あんずのジャムを作ろうと思っています。クッキーに乗せたら、夏らしくて爽やかな味になると思いますので」
「そう」
カーリーはあんずをひとつひとつ取り上げては、日に当てて見つめていた。赤みがかった黄金色が美しいと、カーリーは思った。
クレアは新鮮なあんずと嬉しそうなカーリーを見て、静かに頷いた。
「私も手伝いましょうか? カーリー」
クレアの申し出をカーリーは断った。
「いいえ。私一人で、頑張りたいです」
「そう。カーリーはアレス様に喜んで欲しいのね」
「……はい」
カーリーは照れくさそうに俯いて、あんずの下処理をはじめた。
カーリーはジャム作りがおわると昼食をとった。
その後に小さな丸いクッキーを沢山焼いた。
そしてクッキーが冷めると、二枚のクッキーの間にあんずのジャムを挟んだ。
「ふふ。ころころとして可愛らしく出来ましたわ。アレス様のお口に合うと嬉しいんですけれども……」
カーリーは沢山のあんずジャムクッキーを作った。
「チャーリー様にも、差し上げましょう」
カーリーは二日がかりでクッキーを作り終えると、二つの小箱に同じ数だけ杏ジャムのクッキーを入れリボンをかけた。
「本もクッキーも用意したし、準備は万全ですわね」
カーリーはにっこりと笑った。
「カーリー、あまり遅くまで起きていてはいけませんよ」
「はい、お母様」
クレアはカーリーに訊ねた。
「クッキーのできあがりはどうですか?」
「美味しそうに出来上がりましたわ。もうラッピングもしてあります」
「そうですか。アレス様が喜んで下さるといいですね」
クレアの言葉に、カーリーは笑っていった。
「はい!」
そして週末を迎え、ガルシア家に向かう日が来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます