第95話 日常

 若と姫。平凡な日常生活に、予期せぬ試練と刺激を与えてくれる、南山之寿の宿命の強敵こども。『わたしは一向にかまわんっっ!』という気概で戯れるが、足元を掬われ深い痛手を負うこともしばしば。


 本日は、若と姫との日常を振り返る一時。古いアルバムSDカードの中には、想い出が一杯な状態。若と姫が無邪気な笑顔の下に隠しているのは、悪魔の笑顔。


 夏休みのプール。南山之寿を無慈悲にも照焼きにする、真夏の陽射し。日焼け止めを塗り忘れ、代わり、醤油を塗った訳では無い。若と姫には塗ったが、必要無しとたかをくくった南山之寿。案の定、肩と頭に日焼け。坊主頭は良く焼ける。


 部屋でうつ伏せになり、休息をとる南山之寿。髪をブラッシングする姫。闘いのゴングが鳴る。背中にダイブし、頭を腕でロックする姫。手にはヘアブラシ。頭に走る激痛。日焼けした坊主頭を、ブラシで擦られ悶絶。


『○姫 VS ✕南山之寿 (変則型ヘッドロック)』


 昔遊びを学び、カルタなどを家でもやりたがる若。百人一首を押入れから取出す南山之寿。闘いのゴングが鳴る。床に散らした札の数々。読み上げられる歌。素早く反応し、札を取る南山之寿。手に感じる痛み。南山之寿の手ごと叩く若。札が取れず苛つく若。百人一首を早々に切上げ、他の遊びに移行。片付けをする南山之寿の後頭部に走る痛み。けん玉を振り回す若。


『○若 VS ✕南山之寿(ケン玉ヘッドバッド)』


 図鑑を読む姫。闘いのゴングが鳴る。若が図鑑を読みたいから、姫に貸すように要求。断る姫。他の図鑑を読む様に提案する南山之寿。断る若。姫から図鑑を強奪しようとする若。止めに入る南山之寿。こめかみに食らう、強烈な一撃。急に空を飛ぶ図鑑は、回避不能。


『○若&姫 VS ✕南山之寿(図鑑落とし)』


 大人の階段を登る、若と姫。この先も続く、闘いの日々。想い出が一杯になることを祈り、記録をバックアップ。この作業中も姫が近寄り、スマホに水をかけられそうになったが、これは無事に回避した南山之寿。


 南山之寿は、今日もまた、気が抜けない日常を過ごしている。

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