第88話 パン

『鳥の歌よりパンがいい』


 パンが主食の国で使われる、ことわざ。花より団子といったところ。鳥から繋がり、焼鳥と唐揚げが食べたくなる南山之寿。パンも食べたい。ならば、両方を獲ろう。唐揚げサンドに、照り焼きチキンサンドを食す南山之寿。キッチンに響く南山之寿の鼻唄。


『パンは落ちると、いつもバターが付いた側が下になる』


 イギリスのことわざ。マーフィーの法則でも取り上げられた言葉。いわゆる、泣きっ面に蜂。仮に我が家で落下させようものならば、罵声を浴びせられ、落下したパンを食べるハメになる南山之寿。訪れるのは、泣きっ面に蜂どころではない現実。


 今日の対戦後の食事は、パン。フランスパンで殴り合う新競技なんてやりたくはない。


 若かりし頃の南山之寿。ふと、咀嚼力の劣化を防止しようと画策。とりあえず、厚切りステーキとバゲットを購入。パンはパンでも食べられないパンでお馴染みのフライパンでステーキを焼く南山之寿。『寿〜』と唸る肉。大人しく焼かれて欲しいと唸る南山之寿。


 交互に口に運ぶ、肉とパン。食べ進めるうちに、顎の筋肉がパンパン。満腹中枢が刺激され、お腹はパンパン。一瞬、顎の筋肉がつり、ノックダウン寸前。


 とある休日。姫のオヤツにパンを購入。『アン○ンマン』のあんぱん。フードコートでテンション爆上がりの姫。南山之寿が作る御飯よりも喜ぶとは……実に悔しい現実。


 姫が食べる姿を眺める南山之寿。鼻、ほっぺの順に、顔を剥ぎ取りながら食べ進める姫。顔の全面が無くなり、あんこが露出。独特の食べ方だなと感じた瞬間。持ち上げたあんぱんが落下。


『剥ぎ取られたあんぱんが落ちると、あんこが付いた側が下になる』


 泣き叫ぶ姫。慌てふためく南山之寿。急いであんぱんを回収し、姫をあやす南山之寿。泣き止まない姫。


『最終兵器アン○ンマン』


 Google先生の助けを借りる南山之寿。彼のおかげで元気になる姫。


『あんぱんより、アン○ンマンがいい』


 姫が言ったとか、言わないとか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る