第51話 病院
『ノジュ、病院、嫌いあるネ』
良くわからぬ深夜アニメの台詞風導入事例。痛みに弱い南山之寿。余りのくだらなさに、心が痛い。ディスプレイから伝わる、皆様の白い視線が痛い。実際には、伝わらない。そんな野暮なことは、言わない。
今日の対戦相手は病院。闘う医者と言えば、鎬紅葉。刃牙でお馴染みの、天才外科医兼格闘家。秒殺。南山之寿が闘技場に降りようものなら、秒殺。
なるべく病院に行かない様に、病気や怪我から目を背け暮らしている南山之寿。よほどのことがない限りは行かない。市販薬と湿布の回復アイテム頼りの南山之寿。
子供の頃の苦い思い出。お腹が痛く苦しむ南山之寿少年。病院に行くと盲腸と診断される。医者が追い打ちをかける、さり気ない一言。
『今から手術だね』
心の準備もないまま、手術室へ。薬で治らないか懇願する南山之寿少年。医者が放つ無理の一言。南山之寿少年が放つ無理の一言。あえなく無視される。
局部麻酔に使用する注射器。麻酔で眠るというより恐怖で失神した南山之寿少年。あの日の記憶はおぼろげ。
いくら病院が嫌いでも、定期的に行かねばならない。闘わなければならない一日がある。いちいち大袈裟かもしれない。年に一回開催される、人間ドック。
あっちに行け、こっちに行けと院内をスタンプラリー。採血の下手な若手看護師に当たると最悪。左腕、右腕、やっぱり左腕。笑いながら痛めつけてくる。
人間ドックのメインイベントは、バリウム検査。南山之寿の中ではラスボス。胃カメラという選択肢もあるが。以前、待合室で聞いた胃カメラ検査室からの叫び声。頭から離れない南山之寿。なのでバリウム検査を選択。
検査台で回転する南山之寿。角度が悪いと怒られる南山之寿。物凄く傾く検査台に、必死にしがみつく南山之寿。色々な南山之寿が見られるバリウム検査。今のところ炭酸に耐えきれず、飲み直すという失敗が無いことが、唯一の救い。
乳酸菌入りの炭酸水を飲むと、バリウム検査を思い出す南山之寿。その場しのぎの勢いでこの話を書き上げる。
『もう、しょうがない』
盲腸が無い南山之寿の精一杯の駄洒落。
本日の検査結果:E判定(内容に異常がみられました。)
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