愛犬家
サクヤカンテツ
1
第1話 幸せな日々
我が家にまた新しい家族が増えました!
今度は男の子です。体はオスの割には小さくて、まだまだ可愛い子どものようです。
黒色の毛並みがサラサラで、可愛らしい顔つきをしています。
私の家に来た時は眠っていましたが、起きたら最初はキョロキョロと可愛らしく辺りを見回していました。
彼は私の顔を見た瞬間、やっぱり本能なのか、激しく吠え始めました。無理もありません。彼からしたら私は敵にしか見えないですからね。
それから吠え疲れたのか大人しくなりました。私が近づいたらまだ震えていましたが、首輪を取り付けることには成功しました。
「また」家族が増えたと言ったのはもちろん、この家に先住犬がいるからです。
その子はメス犬です。彼女もまだ成犬じゃなくて体の変化はよく起こります。前まで茶色だった毛は黒っぽい毛にになりました。この色も可愛くて好きです。
もう1匹、紹介しなければいけない家族がいます。
その子もこの子達と同じように私が拾ってきた子なんですけど、家に迎えて数日経ったら亡くなってしまいました。
元々体の弱い子だったのかもしれません。
私はできる限りの事はしたつもりですが、未だに私が殺したのだという罪悪感にかられます。
だから2人はそこの子の分まで愛情を込めて育ててあげたいと思うんです。
男の子は『3号』という名前にしました!
もしかして1匹目から1号、2号、3号になってるんじゃないかって?That's Right!亡くなっちゃった子は2号で、女の子は1号です。
私はそういう名前の付け方が気に入ってるのかもしれません。
3号が来て2日目。3号はまだ檻の中に入れていますが、ずっと檻の中は可哀想なので出してあげることにしました。
3号はまだ私に吠えるし、よく震えます。
「悪い人じゃないよぉ」
って言っても吠えるからちょっとおバカさんなのかもしれません。
3号を膝の上に座らせて一緒にテレビを見ました。どのテレビも最近起こった給付金詐欺事件とか、誘拐事件とか、人気芸能人の4股不倫とかしかやってなくて3号が退屈してしまいそうでした。
そういえば3号をどう拾ったのか言ってませんでしたね。
私はいつも保護犬活動をするために様々な駅を回っていて、その日はたまたま名古屋駅に活動しに行っていました。3号は駅周辺で寂しそうに歩き回ってました。
外で歩き回っている犬は保護するべき対象です。私が放っておけません。
優しく保護をしてあげました。車の中のケージに入れる頃には寝ていました。よほど疲れていたのでしょう。
こんなに犬が大好きな私ですが、この子たちにしてやれないことがあります。
それは外へ出してやることです。
本当はしてあげたいし、私も一緒に外で遊び回りたいです。でもなかなか叶いません。
私、実はスーパーのレジ打ちとか、カフェ店員とか、コンビニ店員とか多くのパートを掛け持っていてめちゃくちゃ忙しいんです。
全部この子たちのため。この子たちのために少し家賃の高い広めの家を借りて、設備を整えて、その他にも色々買ってあげているんです。
設備の中で1番お金がかかったのはカメラですかね。
私がいない間に何をしているのかなって見ると面白いですよ。
3号が来て2日目の日、夜はパートがあったので外出しました。パートの休み時間にスマホを使って家の様子を見てみると、あらびっくり。1号が檻越しに3号と話しているではありませんか。私がいる時は近づかないのに。
こんなの許せませんね。後でムチでお仕置してやらないと!
冗談、冗談!さすがにムチ打ちまではしませんよ。首輪をキツくしたりするくらいですかね。
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