小さな妖精の大きな愛

良行

イントロダクション

小さな妖精が世間に認識されたのは20世紀の初めだった。

イングランドで撮影された妖精の写真が世界各国を震撼し、妖精たちと

人間の交流が始まった。


妖精たちは当初、人との交流を恐れた。しかし、人類の科学の発展を目のあたりにしてこれ以上は姿を隠したままの生活は不可能と判断した。

妖精たちが人との交流を避けたのは自然に愛されたからである。人類からみれば魔法と呼ばれるような自然を操る力を妖精たちは宿している。

人と交われば力は必ず悪用される。

太古にはその力を巡って争いも起きたと伝えられていた。


それでも人類は知恵と努力、愛をもって妖精たちとの共存を願った。

簡単な道のりではなかったが、結果として妖精たちと分かり合えることができた。


この世界の21世紀とはそういった時代である。


一人の妖精の少女が人間に恋をした。

名前はマーガレット、親しい者からは「メグ」の愛称で呼ばれている。


美しいブロンズの丸みのあるショートヘアに妖精特有の横長の耳

顔には幼さが残るが西洋人形のように整った目鼻立ち。

手足はすらりと細く、背中からは自慢の瑠璃色に輝く羽が生えている。

そして声は花の蜜のように甘かった。

まごう事なき美少女である。


ただ1つ、彼女の身長がおおよそ30㎝な事を除けば。


マーガレットが人間に惚れた理由は自分でもよくわからないらしい。

告白をした後に色々考えてみたが、結局わからなかった。

好きになってしまったのは正直な気持ちなのでどうでもいいやと思った。

惚れてしまったのだから仕方がないと。

人間に恋をするのは大変だと周囲に心配されたりもするが、彼女は

己の気持ちに従った。


惚れられた人間はもちろん当初困惑した。

美少女からの告白もだが、相手は小さな妖精なので当然の反応である。

ただ、彼女の明るく前向きな性格、春の日差しのような暖かい笑顔、

相手を思いやれる心に触れて、人間もその妖精に恋をした。


晴れて両想いになった二人。

人間は1DKの一人暮らし用アパートに住居を移した。

妖精が快適に出入りするには住居にも相応の設備が必要だからだ。

予算も含めて吟味をしたが、バストイレ別の条件でよい物件に巡り合えた。



これから語る物語は一人の人間と小さな妖精の身長差130cm以上の恋愛。

種族を越えた純愛のカタチを皆様とこっそり覗けて行けたらと考えている。

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