シチュエーションボイス フリー台本集

清見こうじ

一人用 モノローグセリフ集

親友としか思われていないイケメン女子の切ない相談室(性別変更可能)

(約1400字 8~9分)



やあ、こんにちは。




……どうしたんだい? 何か、元気ないね?




ん? 嫌なことがあって、落ち込んでる?


そっか。何があったの……なんて、やたら訊いてもいけないね。




あ、うん、話した方がすっきりするなら、もちろん聴くよ。




うん……うん……そっか。


恋人の浮気現場、みちゃったんだ……


それって、最近付き合い始めた、あの人、だよね?


告白されて、すごく喜んでた、例の。


そっか……。


それは、……キツいね。


でも、それ、見間違えとかじゃなくて……え? キスしてた?



あ……ほっぺたとかじゃなくて……うん、それは、……クロ、かな、やっぱり。


いや、でも、家族とか……いや、まあ、さすがに家族でも、キスは、ないか。


あ、ゴメン! 泣かないで!


……その人にホントのこと、訊いてみた?


怖くて訊けない? 浮気なのかどうか?


……でも、このまま知らんぷりも、出来ないだろ?


そっか、問い詰めて、そのまま別れることになったら、ツラい、と。


でも、こんな気持ちのまま、そのまま付き合うのも、ツラい……か。


その人のこと、ホント、好きなんだね。


(囁き)

……悔しいな、キミにそんな風に思われているなんて。


あ、ううん。何でもない。


それで……キミは、ホントはどうしたいんだい?


これからも、付き合っていきたい?


……そっか。


ずっと、好きだったから、別れたくない、か。



(低い声)

……でも、付き合って、まだ一月くらいだよ?


なのに、こんなこと……許せないな。


ああ、そうだよ。


許せない。


キミを、こんなに悲しませるなんて。



……ありがとう? 


なんで?


自分の代わりに、怒ってくれて、って?


……やっぱり、親友って、ありがたい、って?



……じゃない、よ。



……親友、なんかじゃ、ない。



……ボクは、ボクは、……キミを……。



ああ、そうだよ!



あれはウソだよ!


男と女にも、友情はあるよ! って言ったのは、ウソだよ!


少なくとも、ボクは……キミを、友達なんて思ってない!


キミが……好きなんだよ!

友達なんかじゃない! 異性として、キミを求めてるんだよ!


…………ゴメン。



困らせるつもりはなかったんだ。


でも、キミをこんなに悲しませる、あの人が、許せなくて。



……そんなあの人のことを、まだ好きだって言うキミが……許せなくて。


……ああ、ダメだ。


ボクが、一番、ダメだな。


本当の気持ちも伝えないでいて、今ごろこんなこと……忘れて。


……ダメ?


でも、こんな気持ちを知られて、もう、前みたいな親友には、戻れない……だから、せめて、忘れて……。


……え?


……いま、なんて?


……男女を越えた親友って立ち位置、崩したくなかったから、言わなかった……って……え?


でも、ホントは、好き、……って…………なんだよ!


今ごろそんなこと!


キミがあの人と付き合うことになったって聴いた時、ボクがどれだけ泣いたと!


……そりゃ、何も、言わないで、祝福まで、しちゃったけど。


……それで、諦めた、って?


バカ!


バカだよ、キミは!


どうして、どうして、一言、……ゴメン、バカなのは、ボクだね。


……うん、好きだ。キミが好きだ!


……ずっと、好き……うん、キミも……ボクのこと……好き……?


……もう、ガマン、しなくて、いい?


あぁ、好き……うん、ホントに、すごく、好き。

(無声囁き)

……好きだ……。


(間)

(囁き)

もう、絶対、キミを手放しは、しないからね?


キミは、もう、ボクのモノだ……一生、ボクの、モノだから、ね。


(無声囁き)

誰にも。渡さない。
















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る