「死地から生還した俺、無事隊員(たいいん)となる。」(最終回)

「君、無事に生還出来たね!おめでとう!まもなく隊員だよ!」

おれは白い装備をした男にそう言われた。

なんだか、とても嬉しかった。さっき怪我したばかりなのにその場で踊り出してしまった。

「こらこら、嬉しいのはわかるが急に動き回ってはいけないぞ」

「は、はいすみません。そう言えば、俺は具体的にはいつ隊員となるのでしょうか。」

俺は気になったことを率直に質問した。


「そうだね…傷口が治まってその後問題がなければすぐに『退院』出来るから、あと二日後ってとこかな? では、くれぐれも安静にね。」

「はい…」

俺はベッドに座り込んで、備え付けのテーブルに置いてあったノートとペンに目をやった。

「これ…」

ノートには俺が入院中に見た幻や夢の出来事が雑に書き連ねてあった。

字体には見覚えがある。俺の字だ。

多分これは、意識がはっきりしてたときに俺が日記として書いた物なんだろう。

「なんだ…そうか、全部夢だっけ…」

俺は落胆に近いような、悲しみだと少し遠い感じの、言葉に出来ない気持ちでいっぱいになった。


「はははは…この夢の内容、うまく纏めれば小説にでもならないかな…」


俺はそこにあったペンを取って人生初の小説の執筆にチャレンジしてみた。



「まず…プロローグから書いてみるか…」





おしまい

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