彼女がNTRれたので三人で付き合う事になった。
斜偲泳(ななしの えい)
第1話 浮気
「……ぇ、嘘だろ」
思わずリアルに声が出た。
恋人の
その時、
雫の好きなマスコットキャラのぬいぐるみがクレーンゲームの景品に並ぶと知って、こっそりゲットしてプレゼントしようと思ったのである。
雫とは中学生の頃から付き合っており、そろそろ四年目に突入する。おっとりした清楚系の美少女で、いまだになんでこんな子が自分みたいなモブ男に告白して来たのだろうと不思議に思っている。
なんにしろ、遊馬も雫が大好きだったので、神様のくれた奇跡だと思って大事にしていた。
最近は特にそうだ。
ちょっと前まで、遊馬と雫は破局の危機に瀕していた。倦怠期と言うのだろうか。高校生になってから、雫との関係が少しずつぎこちなくなっていたのだ。いつも通りのはずなのに、雫はどこか不満そうで、話していても上の空という感じがする。お互いに気持ちがすれ違っているような気配がしていた。
それが最近、急に解消した。
雫は以前のように明るい笑顔を取り戻し、むしろ以前よりも優しくなった。
これを遊馬は神様がくれた二度目の奇跡だと思って、いっそう雫を大事にしようと心に誓った。それでぬいぐるみをプレゼントしようと思ったのだ。
馬鹿だった。
雫は浮気をしていたのだ。
絶望しかけて、遊馬はなんとか踏み止まった。
まだそうと決まったわけじゃない!
漫画だとこういう時、従兄というパターンもあるじゃないか!
遊馬は雫を信じたかった。倦怠期の時だって雫は優しかった。すれ違っている事を自分のせいだと言うように、苦しそうにしていた。なにかあったのか、自分が悪いなら直すからと言っても、なんでもないの一点張りだったが。
それでも記憶の中の雫は、いつだって遊馬を大事にしてくれた。
どう考えても、浮気なんかする子じゃない。
大体雫は、ものすごく清楚な子なのだ。ちょっとした下ネタにも真っ赤になって慌てる程だ。そんな初心な子が、どうして浮気なんかするだろうか。
そう思うと、遊馬は少し安心した。
きっとこれはなにかの間違いなのだ。
それを確かめる為二人の後をつけた。
不安は大きくなるばかりだ。
相手の男は帽子を目深に被っていたが、見える範囲でもしゅっとしたモデルみたいなクール系のイケメンだった。
ちょっと肉付きがよく、おっとりした笑顔が魅力の巨乳ちゃんである雫とはお似合いのカップルに見える。
実際雫は、遊馬の前では見せた事のない親し気な笑みを浮かべて、けらけらと楽しそうに笑っている。
そして二人の足は歓楽街に向かい、大人のホテルに消えていった。
遊馬は三十分程その場で茫然とすると、通りかかった警官に職質された。
途端に感情が溢れだし、泣きながら事情を説明した。
警官は同情してくれて、そんなビッチは忘れちまえと慰めてくれた。
気持ちは嬉しいが、約三年も付き合ったのだ。
倦怠期を乗り越えて、これからだと思っていた所に浮気だ。
多分これは、一生モノのトラウマになるだろう。
帰り道、遊馬はゲットしたぬいぐるみをゴミ捨て場に捨てようとした。
でも出来なかった。
あんな場面を見てしまっても、まだ未練があるのだった。
家に帰ってその事を後悔し、悩んだ末にラインを送った。
『浮気見た。さよなら』
一時間かけて何度も書き直した末のメッセージだった。
それでブロックしようと思ったが、雫の返事が気になった。
一時間が経っても返事はなかった。
そっか。俺、言い訳をする価値もないんだ。
そう思って泣いていると、不意に携帯が震えた。
慌てて飛び付くと、雫からのメッセージだった。
『ごめんなさい。大好きでした』
枯れかけた涙がまた溢れた。
どうしてと遊馬は思った。
それならなんで、浮気なんかしたんだよ。
――――――――――
ラブコメを書くのが楽しくてまた新しいのを書いてしまいました。
テーマ上どうしてもエッチな話になってしまうので、自己責任でお楽しみください。消されたらごめんなさい。
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