第24話 対決 殺し屋兎 その2

 いたずら兎を仕留めたあと、アリスの護衛のスカウト達が現れた。どうやら結界が消滅したことで侵入が可能になったらしい。


 彼らとアリスは何やら話し込んでいるようだった。そして、話が終わり、一段落ついたアリスが私に話をはじめた。


 いたずら兎の亡骸を国で引き取りたいらしく。後ほど報償を王城に受け取りに来て欲しいとのことだった。私は了承し、報償については丁重にお断りすることにした。


 アリスはいくらなんでも……、それは……と、口をにごしていたけど、そもそも採取中に中級ランク冒険者程度でも倒せるような雑魚にそれほどの報酬は無いと思った。明らかにこれは怪しい。きっと私が報酬を受け取りにきた時点で、エイリアスの監禁イベントが発生して私はやられるかもしれない。どうせ……肉ぐらいしか価値が無いはずだし、報酬は寄付ということで孤児院や教会に回して頂くようにお願いした。


 スカウト達はこの森を封鎖し、このまま調査を行うらしい。そろそろ日も暮れそうなので、私達はカグラの森を立ち去ることにした。そして、私はギルドへと戻った。アリスは今回の事を王に報告するため、王城の前で別れることになった。


「エリザさんお帰りなさい」


「ただいま」


 受付の女性は、まるで私の専属でもなったかのように受付の対応をしてくれる。


「エリザさん、これはこれは豊作ですね」


「すごいでしょう」


 顔がにやけてしまう。結構な量の薬草をホリホリしたからね。


「本当にすごいですよ、この量をよく持ち帰れましたね、いたずら兎が大群で襲ってきませんでしたか?」


「1匹だけだったかな?」


「おかしいですね。うーん」


「すっごく大きくてね、可愛い兎だったかな?」


「大きい兎ですか? 変異種がいるかもしれませんね。いたずら兎は可愛いのは確かですけど、エリザさんは運が良かったですね。それでは薬草を換金いたしますね」


 銀貨が詰まった袋を一つもらう。結構な額になっていた。今日はいつもの依頼の給金がないからとっても助かる。


「もう、遅いから帰るね。じゃあね」


「今日もいい話をもってきたのに酷いです」


 私は、いつものイイ話が、はじまりそうな予感がしたので、ギルドを後にした。


 今日は本当にたいへんだったなぁ。帰りに何か食べ物でも買っていこうかな。お金も入ったしね。ご機嫌な私だった。だけど、ギルドを出て少し歩いたところで、


「見つけたぞ、エリザ嬢」


 ご機嫌だった私のテンションがダウンした。私を見つけた男が、こちらに向かってくる。それはそれは、よく知る人物だった。


 監禁王子が、なぜ、ここに?


 エイリアス王子がゆっくりとこちらに向かってくる。とても険しいお顔で──


 えっ、まさか、わたし、また何かしてしまいましたか?

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