第7話 聖痕の継承者達

「……すいません、これでお願いします」


 私の目はすでに死んでいた。受付の女性に書き込んだ用紙を手渡す。彼女は、それを受け取った。


 わたしは貴族であっても、ゲームのエリザと違って、完全に両親に身捨てられている。だから貧乏だ。登録をしないという選択肢はない。


 ギルドに登録する時はスキルは別に書かなくてもいいけど、名前とクラスだけは必須で嘘を書けない。犯罪歴はクラスに現れる、ネクロマンサーや暗黒魔術師など闇の勢力のクラスが存在するからだ。魔法のペンによって書き込んだ内容の真偽が判別されてしまう。通常は黒だけど嘘だと赤になる。


 ……銀の聖女候補、うぇーん、やだぁ、書きたくなかったよ。わたしは追放されてスローライフしたかったのに、このままだとわたし、ビッチな聖女になってしまう。というか、おい、本物のヒロイン様はどこいった? まさか、逃げやがったの? わたしと、同じ転生者?


 ああ、どうして、こうなった。わたしがヒロインポジになっているなんて、本物のヒロイン様の容姿や髪の色、名前は自由に選択可能だから彼女の正確な情報を知るすべがない。


 わたしがいた、辺境伯領はド田舎であって平和だったから、ゲームでも宿屋一軒だけが表示されていて、ただの回復地点だった。だから、この土地に情報などが、まったくもって入ってこかなかった。入ってきても、かなり遅れたものだしね。


 聖女速報なんて雑誌すら聞いたことがなかった。というかそんな情報雑誌みたいなものがこのゲームにあったの? 


 まさか、わたしのことも過去の記事に書かれてるんじゃないよね、雑誌のせいでわたしが聖女候補に祭り上げられた? 


 これらの敵を私が倒したことをなぜ、この著者は知っているのだろう。もしかして、銀の聖女候補の正体を私だけが、知らなかったの。だから、学園の皆の態度がよそよそしかったんだ。いやいや、わたし四天王って、倒した記憶がないんだけど。


 辺境伯領でのわたしは屋敷にひきこもっているか、山と川でスローライフばかりしてたいたから世間に疎い。最後はメイドさんも執事の人も屋敷にこなくなった。


 もう令嬢ではなく、野生化していたので完全に両親に捨てられモードなっていた。いつ野垂れ死にしてもいい感じになっていた。


 でも俺様キャラの義弟のエストだけは、たまにきてくれたっけ、「お前みたいなヤツにはこれがお似合いだ」とか言って、フリフリの可愛いドレスを何枚かくれたり、あの頃のわたしの服装は、イケてるシャツ1枚とミニスカを履いて、ひゃっはーな感じでゲイボルグを振り回してた乙女だったからね。


「お前みたいなヤツにはこれをめぐんでやる」とか言ってこの世界のメロンや果物? もくれたっけ、彼は雷の聖痕の継承者だからあまり関わらないようにしていたけど、でも、もらえるものは頂いた。


 風の聖痕の継承者クライブは、ヒロイン様がストーカになってクライブを追いかけまわして、無理やり襲ったり、自分から誘惑したりして、ヤっちゃうイベントばかりだったような、だからわたしは発情して、彼にあんなことをしたのかもしれない。いつか、わたしは彼を無理やり、ひん剥いて襲うかもしれない。ほんと、注意しないと、これ以上は友好度を上げると本当にまずい。


 光の聖痕の継承者は、わたしがかかわった男性といえば、タロー君って、確かに叩いたりしたけど、あれでまさか好感度MAXになったの? でも容姿がかなりアレでどう考えてもイケメンの彼ではないような、それにいきなり、初心者の森でリタイアしてるんだけど?


 雷と火の聖痕はまだ受け取っていない。雷の聖痕継承者である義弟と出会ったのは幼い頃だから、恋愛感情に発展することはなかったはず、だから大丈夫だったのかも、でも警戒しないとね。


 あと火の聖痕はこの国、イフリートの王子のはずだから城にはできるだけ近づかないようにしないとね。これ以上、友好度をあげると本当にまずいかも本物のビッチ、聖女になってしまうからね。

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