第37話

翌日、約束通り公正証書を提出に行った。


そうしたら3時間待ち。


その上書類の不備がまたあった。


「やった!ついてる、私!」


その横で奴は、予約が取れるのはいつ


か、必要な書類、公正証書が受理され


る為の方法を細かく聞いていた。


これだけ聞いたってどうせまた不備が


あるだろうし、奴は転勤してこっちに


そうは来られない。だったら公正証書


を出すことを面倒だと思わせて離婚を


取り消しにしてやる。バツイチになっ


たけど再婚だって再再婚だってしてや


ろうじゃないの。


そんなことを考えながら公正役場を後


にした。


帰り道、奴は無言。駅に着いたら当分


会えない。


だったら言っておいてやろうと私は決


して言った。


「あんたはこれから新しい人生を歩ん


でいくのだろうけど、その決断が私と


子2人が路頭に迷わせることを忘れな


いで。」


すると奴は驚いた顔で「てめえがそう


させたんだろうが。よく言えたな。次


言ったら金も払わねえし何もしねえ


ぞ。家も売るから出ていけ。覚えと


け。」


一瞬寒気がした。


でもこの時の私には


「シングルマザーは被害者」という考


えが根強くあったし、また再婚出来る


と多いに自信があったからすぐに切り


替えられた。


さーて。今度は公正証書をどうやって


引き延ばして再婚させてやろうかな。


私は楽しみでしょうがなかった。後に


人生の挫折を多いに味わうはめになる


とは、この時は思ってもいなかった。

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