第19話

何とか二人目を授かり、無事に産まれた。

ようやくこれで目的達成ができた。

長かった。本当に。

これで演技する必要もなくなり、苦痛な夫婦生活も不要になった。世間体も良くなった。あとは金だけ運ばせてくればいいや。


子供二人いる生活にも慣れ始めた頃、相手に聞かれた。

「2人産まれてどう思ってるの?」と。

だから私は隠す必要もないし開き直って「目的は達成した。」と言ってやった。

「は?何それ?俺は物だっていうこと?」

「そう。っていうか今頃気づいたの?遅いね。」

珍しく相手は何も返してこなかった。

返してこないなんて弱い奴。まあいいや。平和だし。


しかし、これだけ言ったらもう夫婦生活やら何やらで近寄らないだろうと思っていた矢先、何故か寄ってきやがった。

適当に断っているけどまだ言ってくる。連日まじでしつこい。とうとう私はブチギレて

「そういうの気持ち悪いからさ、お金あげるから外で済ましてきてくれる?!!」と言ってやった。

そうしたら相手は静かな表情と声で

「俺って何なの?ATMかよ。」

「当たり前じゃん。」


この日を境に相手の気持ちも離れていった。いや、もしかしたら結婚してからすぐに離れていたかもしれない。

そして次第に家に帰ってこなくなった。

この時は、子供を産んだこと、目的達成したことの優越感に浸り、危機感など全くないと思っていた。

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