もちもち読書感想文
猿渡めお
『読んでいない本について堂々と語る方法』を読んで
読む前の印象として、なんて卑怯な人がいるんだと思いました。
僕が夏休みごとにあんなに苦労して、本を読んで何も感想なんて出ないまま、あらすじやお母さんの語りや自分の生活についての語りで原稿用紙を埋めていたのを、ばかにするかのようです。
それでも読んでみると、学ぶことがありました。
この本では、『薔薇の名前』『吾輩は猫である』などの名作を取り上げて語ります。
その名作には、読んでいない本について堂々と語る人たちが出てきます。その人たちを観察して、読んでいない本について語るとはどういうことなのかを論じる本です。そのとき、わざと、取り上げる作品を読んでいなくても語れそうなことを語っていると感じました。
読んでいる本についてでも、読んでいない本についてでも、語るときはその本が他のものとどういうつながりがあるのかについて注目するものだそうです。どういうジャンルのどういう本の話をするのか、自分の体験の中でどういう本なのか、語る相手は何を求めているのか、といったポイントは、たしかに重要そうだと思いました。
そこで、読んでいくうちに、僕が読書感想文に苦しめられていた理由がわかりました。確かに読んで、内容もわかって、面白いとも思った本について、感想文が書けないのは、読んだ本をほかのものとつなげることができていなかったからだと考えました。この本は、読んでいる本についてなぜ堂々と語れないのか、という本でもあるのです。
これからは、本を語れるぐらいいろいろな本を読んだり、いろいろな体験をしたり、人と話をしたりしようと思いました。
そして、その体験を活かして、読んでいない本についても、存在しない本についても、堂々と語ろうと思いました。
※読んでいない本について、読んでいるかのように、堂々と語ることを推奨はしません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます