もちもち読書感想文

猿渡めお

『読んでいない本について堂々と語る方法』を読んで

 読む前の印象として、なんて卑怯な人がいるんだと思いました。

 僕が夏休みごとにあんなに苦労して、本を読んで何も感想なんて出ないまま、あらすじやお母さんの語りや自分の生活についての語りで原稿用紙を埋めていたのを、ばかにするかのようです。

 それでも読んでみると、学ぶことがありました。

 この本では、『薔薇の名前』『吾輩は猫である』などの名作を取り上げて語ります。

 その名作には、読んでいない本について堂々と語る人たちが出てきます。その人たちを観察して、読んでいない本について語るとはどういうことなのかを論じる本です。そのとき、わざと、取り上げる作品を読んでいなくても語れそうなことを語っていると感じました。


 読んでいる本についてでも、読んでいない本についてでも、語るときはその本が他のものとどういうつながりがあるのかについて注目するものだそうです。どういうジャンルのどういう本の話をするのか、自分の体験の中でどういう本なのか、語る相手は何を求めているのか、といったポイントは、たしかに重要そうだと思いました。


 そこで、読んでいくうちに、僕が読書感想文に苦しめられていた理由がわかりました。確かに読んで、内容もわかって、面白いとも思った本について、感想文が書けないのは、読んだ本をほかのものとつなげることができていなかったからだと考えました。この本は、読んでいる本についてなぜ堂々と語れないのか、という本でもあるのです。


 これからは、本を語れるぐらいいろいろな本を読んだり、いろいろな体験をしたり、人と話をしたりしようと思いました。

 そして、その体験を活かして、読んでいない本についても、存在しない本についても、堂々と語ろうと思いました。


※読んでいない本について、読んでいるかのように、堂々と語ることを推奨はしません。

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