第五話 昼休憩 (1)

 六人で僕がここに来た時に案内してもらった受付の場所に行く。

 その間、各々の身の上話をしていた。

 

「とりあえず、名前を聞きたいわ。僕はなんて名前なの?」

 僕の戦いを解説してくれた女性が爪の少年に声をかける。

「ん、オッド。後、僕ってなんだ!これでも十四歳だぞ!」

 オッドと名乗った少年は身なりが悪く、服もさっきの戦闘とは関係なくボロボロだ。全体的に肉もついてなくあまり裕福ではないんだなと思った。

 身長も歳相応というべきか百四十五センチぐらいしかない。

 それでも腰にかけた爪だけはキラキラしていてまるで本人のものではないように見えてしまう。

 それにしても年齢いじり?に対して怒っていたが十四はしょうがないんじゃないか?

 それにしても十四か……。十四で軍に入れる親って……。

 

「十四歳なんだね!ごめんね、子供扱いしちゃって。」

 と、女性はにやにやしながらいうがオッドは気付いてないのか、

「わかってくれればいいんだ。」と、まんざらでもなさそうに答える。

 隣でルーファスが「ガキだろ。」と言ったような気がしたが気にしないでおこう。

 


「じゃあ、あなたは?」

と、その対戦相手だった忍者の男性に声をかける。

「俺は……コキジ。だ。よろしく。」

 コキジは目を合わせることなく小声でいう。チラチラ見ようとしていることから興味がないってわけじゃなそうだ。

 コキジと名乗った忍者は戦いが終わっても真っ黒な装束は脱がないようだ。顔は目しか見えておらず感情がよくわからない。そして、全身を見てもオッドとやり合った武器が見当たらない。

「よろしくね。もしかしてだけど年齢同じぐらいじゃない?」

 女性はそう言って少しオッドの方をみる。オッドは案の定年齢という言葉に反応して少し見上げて二人の顔を見る。

 女性はそれを見てまたにやにやしだす。

コキジはそのやりとりに気づいていないのか無視してるのか、


「年齢か。確か二十一だったはずだ。」

「二十一かぁ。じゃあ私が一個上だね。」

「ということは二十二か。」


 そう言ったコキジは少し遠い目をしたような気がする。


「あ、そうだ。俺の職業って何かわかるか?」

 と、コキジの口から出る。

 すると、間髪入れずに


「忍者よね。」「忍者ね。」「忍者だろ?」

 と同時に三人の口から出る。


「あ、え?みんな知ってるのか?案外有名だったりするのか?答えなかった二人は知ってたか?」

 とても驚いたように反応する。


「僕は名前自体は知ってたんですけどコキジさんがそれかはわからなかったです。戦いの時にルーファスさんから聞いて初めて知りました。」


「カルムも知ってたのか!僕は分からなかったぞ……。」


 どうやらオッドだけわからなかったらしい。


「あ、そうなのか……。案外有名なのか。」

 と、なぜかショックを受けているコキジにルーファスが

「まぁ、ここにいる奴らは戦闘の知識が深いだろうから、他の人はあまり知らないと思うぞ。現にこのガキは知らなかったみたいだしな。」

「ガキじゃない!オッドって呼べ!」

「はいはい、オッドくん。」

「もうー!」

「まぁまぁ、煽るのはそこまでにして、実際その通りだと思うわ。私も図書館にあった昔の文献に載ってたのを覚えてただけだし。」

 レイピアを持っていた女性が宥める。

「そうなのか。まぁ、ならいいか。ありがとう。俺の話はこれでいいが二人の話が聞きたい。」

「確かに、二人の名前も知らないですもんね。」

 俺がコキジさんの提案に続いて言うと、「それもそうね。」と、二人で顔を見合わせる。

 

「じゃあ、まずは私からでいいかしら?私の名前はサラスバディ。どっかの神話の神様らしいんだけど今となってはわからないわ。今更知ろうとも思わないからいいんだけどね。そして?」

 と言ってもう一人の顔を見る。

「えっと、ルレアって言います。」

 え?ルレア?というかルレア様?確か、ルレア様といえば次期皇女であったはずだ。

「みんな驚いてるね。私もさっき聞いた時にすごい驚いたんだけどそうなの。ね、ルレア?」

「う、うん。実はそうなの。でも!この場ではみんなと対等ね。だからなんか、様とかつけないでね。呼び捨てでいいからね。」

 そうなのか。なぜそんな人がこんな場所にきたのだろう。

 物語の中ならおてんば王女様とか戦闘が好きな武闘派王女様とかあるがこの人もそのどちらかなのだろうか。

  

「二人は仲良さそうだけど元々知り合いだったのか?」

と、オッドが質問する。

「んーとね、実は今日知り合ったばかりなの。まぁ、わたしたちしか女性はいないしとりあえず仲良くしよーって感じ。」

 あ、そうなのか。僕もオッドくんと同じく知り合いなのかと思っていた。

「そうだったのか。」

 質問した本人は興味なさそうに返事する。


 

 そこで僕たちはようやく受付についたので一旦話は中断することになった。


「すみません、昼ごはんをもらいに来たのですが。」

「はい!カルムさんですね。わかりました。ではどうぞ。」


 僕たちはそうして一人ずつ弁当をもらった。

 

「さっきの会議室に向かいましょ。」

 その声に従って一階上の朝集まっていた会議室のような広間に向かった。

 

 部屋に入ると既に全員が揃っていて食べ始めている。

 

 僕たちも食べ始めようと言おうとしたらサラスが前に出て手を何回か叩く。


「ちょっとみんないい?みんなさ、まだ自己紹介まだだから食べながらしない?」

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