世界の終わりに向けて愚か者達は。

桜坂神楽

エピローグ

 ――ウラハ帝国、それは、世界有数の国家であり、堅牢な城郭と城門に囲われ、世界トップレベルの軍と技術を持っている国だ。しかし、世界トップレベルとは言ったが帝国が抜き出たのではない。


 ――周りが落ちたのだ。

 それもこれもあの忌々しい獣、魔族のせいだ。

 

 日に日にやつらの勢いは増している。

 

 やつらの生殖能力は恐ろしく早く、その上、人工の魔族もいるため倒す数より産まれる数の方が多い。

 そのため倒しても、倒してもきりがないのだ。奇襲をしたところで軍の数パーセントを削れれば上々。そのうえ、トップレベルの軍がいたところで魔族に対しては所詮人間で一般人同様だ。


 まともに奴らを殺せるのは軍の中で一割もいないだろう。

 そしてそんなウラハ帝国最大の戦力は対魔族臨時軍だ。

 その実態は十人しかいない隊。しかし、そのほとんどが個人で奴らを殺せるほど強く、そのうえ、連携が取れる。 

 彼らに王も含めた国民は懇願、もはや依存に近いものを抱いていた。

 そもそも対魔族臨時軍というのは当初、戦争により少なくなった兵士をかき集めたもののはずだった。しかし、国の想定していた兵士とはとても異なった兵が集まった。 


 当初は急遽集まった馬鹿どもとしか思ってなく期待はしていなかった。なぜなら強いなら最初から軍に入ってるからだ。軍に入っていなかった人間が強いはずがない。ただ彼らが軍に入っていなかったのは軍には入れなかったからだ。

 当時、軍は信用のできる者だけを募集していた。理由はほかの会社と同じで経歴に不審点があるものは無い者と比べれば信用は出来ず十分に働かないのではないかと思うのは当然の心理で社会の暗黙のルールだ。

 それは軍にも適用される。そんなことが理由で軍に入るためにはある程度の条件があった。その条件が満たされていないと、強くても入ることが出来ないのだ。なので、対魔族臨時軍に入るような何か、過去にあった者達は入ることが出来なかったのだ。彼らがいくら強くても。


 しかし、臨時軍の中にも弱い者もいる。

 それがカルムだ。彼はどんなに頑張っても強くはなれず彼だけは「弱い」という理由だけで軍に入れなかった。

 入隊試験に何回か行ったが弱いがために入れなかった。

 そして周りの環境のせいもあり、当分入隊試験は受けていなかった。

 

 彼が入隊するきっかけをもらい彼が弱いなりに頑張り始める。


 ――この物語はそんな「弱い」彼の物語である。

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