第39話大賢者と学園祭・当日
ついに学園祭が始まった。
おばけ屋敷に屋台物、劇場部の演劇等定番のコーナーが揃っている。
無論これらは俺が現代の知識と素材を提供して実現した物だ。
特にたこ焼きなんかはタコを食べる事に抵抗のある人達が多かったから大変だった。
しかし魔法の使える異世界でよかった。
火や水の準備は面倒な設備も申請もいらないからな。
俺は自分のクラスに戻るとさっそく執事の服に着替えた。
そして俺のクラスと隣のクラスは男子は執事の恰好を、女子はメイドの姿をしている。
メイド服の女子の姿に興奮する男子達。
こういうのは異世界でも共通なんだなぁと思った。
「ジャック君、いよいよ当日だね!」
「旦那様には特別なご奉仕をしてもよくってよ?」
「婿殿…そんなに見ないでくれ、恥ずかしい」
「ゼロ君、早く彼女等を連れて行きなさい」
あ、はいってシルヴィア生徒会長?
シルヴィア生徒会長も何故かメイド服を着ている。
可愛いと言えば可愛いんだけど…何故?
「あなた達のクラスが一番危険そうだったので私が監視する事にしたの。令もご覧の有様だしね」
「そうですか…似合ってますよメイド服」
「あら、ありがとう」
シルヴィア会長は真顔で俺にお礼を言った。
怖い、怖すぎる!俺は好感度ボードを呼び出し会長との好感度を確認する。
好感度は恋人レベルの4だった。
設定4でこれなのか…少し身震いした俺だった。
「いらっしゃいませーご主人様」
メイドと執事の恰好をした生徒達が元気よく挨拶をする。
客は殆ど父兄や都にすむ貴族達だったが、柄の悪い連中も稀に来る。
そういう時に活躍するのが御門先輩…なのだが、
メイド服に恥ずかしがってまともに前も見れていない。
「おうおう、ここのメイドはお触りしていいんかいのう?」
「ほら、ご奉仕せんかい!」
「ひっ!」
あらくれ共達が女子達に絡んでいる。
服装を見る限りスラム街から来た連中だろう。
こんな奴等を通すなんて風紀委員達は何をやっているんだ…
と思い出したが、やりすぎるなと釘をさしたのは俺じゃないか。
俺は自分の責任を全うすべくあいつらに近付いた。
くそっ!大賢者の魔術さえ使えればこんな奴等…
「お客様、当店はその様なお店ではないので…」
「なんやワレェ!男に用はないんじゃ…いやすみませんでした!」
「ゆ、許してくださいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
男達は律儀に金を机の上に置くといそいそと退店していった。
俺が後ろに気配を感じ振り向くと、そこには仁王立ちしていたシルヴィア会長がいた。
どんな顔をして追っ払ったんだろうと思ったが、俺にそれを聞く勇気はなかった。
「さっきの恰好よかったよ、ジャック君」
「うん、男らしかったぞ婿殿」
「さすが私の旦那様ね!」
「追い払ったのはシルヴィア会長なんだけど…」
「私は何もしてないわよ。よくやったわねゼロ君」
なんかよくわからないけど俺はこの称賛を受ける事にした。
そして学園祭最後のイベントと言えばフォークダンスだ。
一応全生徒に踊り方を書いた紙は配ってあるが、果たしてどうなるやら。
「あのジャック君、一緒に踊ろ―」
アリスが俺を誘いに来たと同時に学年中の女子達が俺にラブコールを送って来た。
俺はこいつらの誘いを受けるつもりは無い。
俺はアリスの手を取ると屋上へ転移した。
ふぅ…ここなら誰もいな―
「いるわよ」
「え」
そこにいたのはメアに御門先輩、そしてシルヴィア会長だった。
「抜け駆けは許さんぞ、アリス」
「アリスばっかりずる~い。私も旦那様と踊りた~い!」
「と言う訳よ、ゼロ君」
「わかりましたよ!全員と踊ればいいんでしょ!」
俺は最初はアリス、次にメア、そして御門先輩とシルヴィア会長と順番に踊っていく。
楽しい学園祭もこれで最後、そう思った時皆が俺の頬にキスをした。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
俺は天高く手をかかげると、皆をMPタンクにし、特大の最下級魔術のバーンを放った。
それはまるでフィナーレに上がる花火の様だった。
しかし無事に終わってほっとしている俺。
皆で一緒に学園祭を回ったり、ミスコンで一波乱あったりと色々あったが、
それはまたおいおい。
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