第19話大賢者と入国希望者とモンスター
「おい王様、入国希望者が来たぜ」
「ああ、知らせは受けているが…」
傭兵王女のミーナに呼ばれた俺は国の正門の入り口にまで来た。
そこには沢山のモンスターと一人の少女がいた。
「私の名前はイスカ、魔物使いです」
「後ろのモンスター達は君の僕(しもべ)か?」
「僕?いいえ、この子達は友達です」
「で、その友達も含めて入国したいのかな?」
「は、はい!」
イスカは心が見透かされた様な顔をしている。
まあ丸わかりなんだけども。
「あたしは構わないけどさ、他の奴等がなんと言うかねぇ?」
ミーナがくっくっくと笑いながら俺の方を向く。
まあ住民達から苦情は来るだろうな。
「こいつら、暴れたりしないのかい?」
「この子達はいい子なんです!そんな事はしません!」
ミーナの問いに迫真の顔で異議を唱えるイスカ。
俺もそれは心配だったが、プロの魔物使いの言う事だ、間違いはないだろう。
はてさてどうした物か…。
「魔物だー!」
俺が思案していると街の居住区の方から悲鳴があがる。
イスカの魔物達はここにいる…という事は野生の魔物か。
―居住区
居住区に付いた俺とミーナとイスカ。
そこには小型の飛竜、ワイバーンの群れがいた。
地の利は向こうにあり、護衛隊の攻撃は上手く当たらない。
「くそ!空飛ぶなんてきたねぇぞトカゲ野郎!」
「こんな時に限ってMPタンクになる女子がいない…」
俺は周囲を見渡すがここに集められた住人達は魔力やMPが低い。
つまりMPタンクにはなれないのだ。
ミーナも脳筋の為MPは0に近い。
俺は最後の頼み綱にイスカに目を向けた。
「イスカ、君のMPは!」
「残念ながら私のMPは低いです」
「そうか…」
落胆する俺。
しかしイスカの目は諦めていなかった。
「悪い子達にはお仕置きです!行きなさいドラコ!」
ドラコと呼ばれた巨大なドラゴンはその尻尾を振り回し、
ワイバーンの大群を薙ぎ倒した。
残ったワイバーン達は恐れちりぢりに逃げて行った。
「申し訳ありません、建物を壊してしまって」
怪獣映画なんかでよくある事だ。
まあこれ位ならマリーに頼めば一発だろう。
そして逃げて身を隠していた住民達からイスカやその魔物達に向かって拍手が送られる。
「ようこそバビロニアへ。歓迎するよイスカ、それと愉快な仲間達」
「ありがとうございます!」
こうして魔物達と魔物使いイスカという新しいメンバーが加わった。
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