4月__日: :

 4月の暮れ。

 お祖母ちゃんの部屋を整理していたら、無地の封筒が出てきた。


「……?」

 中には一枚の写真が入っていた。

 インスタントカメラで撮られたそれには、小さな恐竜の骨格標本と、少女が映っていた。撮影した場所は、どこかの博物館だろうか。

 封筒には、写真とは別にもう一枚、紙が入っていた。

手紙と言うには簡素だが、メモと言うには小綺麗なその紙には、短い文章が綴られていた。


『私が初めて感動した恐竜の骨は、実はレプリカだったらしい。図録で、そのことを知ったとき、私はショックを受けた。

 でも、だからこそ、私は『本物』を見たいと思い、古生物学者を志した。

 人は、ときに作り物や偽物を通じて、真実に至ろうとする好奇心を得る。

 人とは、そういう生き物であり、人が生きるとは、そういうことなのだ。』


「ピー」

 僕の傍らで、ミクが鳴いた。


「……」

 その、小刻みに跳ねるロボットを──作り物を見て、僕は、お祖母ちゃんの生と死を、実感するである。















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サイエンスお祖母ちゃん 七海けい @kk-rabi

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