海で出会ったお姉さんは明らかに私のことを誘ってる

でずな



 念願の大学生活。私は見事友達を作ることができず、ぼっちになった。

 そんなぼっちである私は、何故か数回喋ったことがある程度の人たちから海に誘われ、今砂浜の上にいる。


「おぉ〜!!」


「って、すげぇなおい!」


 奥では、砂浜や海岸で遊んでいる男女。

 とてもじゃないが、あの中に入る勇気はない。私はパラソルの中でアイスを食べているくらいが丁度いい。


「あ〜む」


 暑い中、外で食べるアイスは格別に美味しい。

 そんなことを思い、わざわざこの日のために買った水着などの苦労を考えないようにする。


「ねぇ、ちょっと」


 やっぱり私には友達を作るなんて無理なこと。

 高校でもロクに友達ができなかったのに、大学デビューをしようとしたのが無謀すぎた。


「お〜い。そこの女の子」


 ? なんで誰か呼ばれてるのに無視してるんだろう。喋りかけてる女性の声が寂しそう。

 

 ここで私が颯爽と駆けつけ、助ける。女性の方からお礼をしたいと言われ連絡先を交換し、友達に……。って、そんな上手い話あるわけないよね。


「あっ。そこのアイスを食べながら、ため息を吐いてる君だよ君」


 トントンと肩を突かれた。

 まさか話しかけてたのが私なんて思わなかった。

 

「な、なんですか」


 見たことのない顔。少なくとも、私を海に誘った人たちじゃない。

 ……それにしても、綺麗な人。すらっとモデルみたいな引き締まった体に、私にはない豊満な胸。綺麗すぎて、一回めちゃくちゃになった姿を見てみたいもの。


「えぇ〜と。特にこれといった用はないんだけど。ほら、あなたって暇そうだったから喋りかけてみたの。あと私の好みの顔だったし」


「へぇ……そうなんですね」


 髪を耳にかけて、ペロッと舌を巻く動作……。この人絶対痴女だ。


「ここ座ってもいい? 日差しが強くてクタクタでさぁ〜」


「どう、ぞ」

 

「ありがとう。そういえば、自己紹介がまだたったね。私は陽菜ひな。あなたは?」


かえでです」


「へぇ〜楓ちゃんって言うんだ。容姿通り、可愛い名前なんだね」


 この人、いきなり喋りかけてきて何なんだろうって思ったけど、まさかナンパっていうやつなんじゃないか?

 やばい。人生初めてのナンパだから緊張しちゃう。


「い、え、私なんて全然、可愛くなんてないです。陽菜さんのほうが別格で可愛いでしゅ」


「や〜もぉ言葉上手なんだから。そんなこと言われたらお姉さん、期待しちゃうよ?」


「え」


 期待しちゃう……? 

 え?

 ん?


「なぁ〜んてね。はっはっ! 楓ちゃん動揺しすぎだって」


「ど、動揺なんてしてませんから」


「へぇ。ならこれから私と海じゃなくて、フカフカなベットがある場所に行ってイ・イ・コ・ト、しない?」


「にょ!?」


 この手に伝わる柔らかさ……。おぱぱい!?

 なんでこの人私に胸を触らせてるの? 


「フッ」


 色気のある笑み。

 誘ってる。いくらぼっちの私でも、この人がホテルに誘ってるってわかる。

 

「見るからに真面目そうな楓ちゃんが、ホテルに来るわけないよね〜」


「行きます」


「本当に? 手加減しないよ?」


 陽菜さんの手が私の太ももをなぞって、内股をなぞって、脇をなぞって、唇をなぞってきた。

 なんか変にゾクゾクしちゃういやらしい手付き。

 このまま引いたら、私がお子ちゃまで負けた気分になる……。


「の、望むところです!!」 


「んふふ。じゃ、行こっか」


 この後、私が完膚なきまでヤられたのは言うまでもないだろう。

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海で出会ったお姉さんは明らかに私のことを誘ってる でずな @Dezuna

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