三題噺 戦姫の憂鬱

くろゆり

第1話 きれいな存在

いつだって争いをやめられないのが人間だ。


今回の戦争の火種は、隣国が条約で禁止されている大型兵器を製造したことがきっかけだった。


古代人達が戦争のために発明し、現代では禁止になった戦車と呼ばれる兵器。

それに対抗できる手段は本当にごく僅かだった。



戦姫、、

数少ない戦車に対抗できる国の守り神のような人だ。


戦わせれば人では誰も敵わないという。


そんな戦姫の活躍によって、戦争は終結した。




「リリィ、荷物運ぶの手伝って!」


「わかったわ、すぐ行くわ!」


リリィと僕は幼馴染だ。

平民として産まれた僕とリリィは周りから見ればただの仲の良い二人だった。


「レイ、ここに置いとくよ〜」


「ありがと〜助かるよ」


こんな普通な二人には大きく違う部分がある。



彼女は戦姫だ。


僕は平民だ。



同じ場所で生活してきたのに


こんなにも違うなんて、


劣等感に苛まれながら、戦争のない世界をずっと望んでいた。


「レイ!レイってば!」


「あ、ごめん」


「なんで謝るの?変なの」


彼女は少しバカにする様に笑った。


「笑わないでよ、、」



僕は彼女が好きだ、


戦姫として戦う彼女はとても強く、


何よりも誰よりも





きれいな存在だった。

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