悲しいお話です!

作者の奏さんは、不幸なめぐりあわせにもてあそばれる人物を主人公とした作品を多数発表しています。

ただ、「不幸なめぐりあわせにもてあそばれる」と言っても、そのままバッドエンドから逃れられないものから、身内や親しい人たちのはたらきにより、ハッピーエンドを迎えるものまでいろいろですし、主人公に不幸をもたらす原因となったキャラのふるまいや態度についても、悪意ある心情から発するものから、まったくの無知から発したものまで多様です。そして、安易なザマァおちにはならないところも奏さんの作品を読む楽しみですね。

この作品は、双子姉妹の一方が両親の偏愛にしたがって生きてきた結果、そうとは知らずにもう一方の幸せをすべて奪っていた、というかなりキツめのバッドエンドものです。

特に、はからずも自分の姉妹の幸せをすべて奪っていたもう一方の姉妹の無邪気な生きかたが私にはきわめて罪深いように感じられました