覚えのない夜からどんどん話が進んでいってるんですが……結婚て、冗談ですよね?
深谷花びら大回転
目覚めたらそこは……
「あぁ、気持ちわり。すっごい体調悪いわこれ……なにこれ」
頭痛と共に起床した俺の耳に、聞き覚えのないミュージックが入り込んでくる。
ミュージックだけじゃない、部屋の内観もそうだ。見慣れた自室とはかけ離れていて、こっちもこっちで全然見覚えがない。
「え――ここ、どこ?」
耳馴染みのないミュージックが流れている見覚えのない部屋。スマホのディスプレイに表示されている時刻はとっくに朝なのに、日の光がどこからも差し込まれてこない。光源は無駄にエロい照明しかない。
無駄にエロい。いや、普通にエロい。紫に光っちゃってるし……つか俺はなんで裸なの? これじゃまるで。
「……ラブホじゃん」
辺りをざっと見渡しただけで俺はほぼ確信した。ウオーターサーバーや古いパチスロもそうだし、なにより大人の道具や精力剤が入ってる販売機がここラブホと申している。
この部屋自体は初めましてだが、似たような部屋は何度かお邪魔した事がある。
……でも、何故? 自分で言うのは悲しいけど、こんなピンクな場所に用なんてねーぞ、俺。
こういう場に一緒に来てくれる女性の知り合いはいない。となると、デリバリーしたかトチ狂って男の誰かと来てしまったかになるが……。
さすがに男はないな……うん、絶対ない。
てことはやっぱりデリバリーしたんか…………あーダメだ、昨日の記憶がマジでないぞ。
思い出そうにも頭痛が邪魔をしてくる。段々と流れている音楽も鬱陶しくなってきた。
「……ん?」
枕元に設置してある操作盤で音楽を止めると、遠くから水が流れる音が聞こえてきた。
……お、俺は一体――何十分コースを選択したんだッ⁉
シャワーの音である事はまず間違いなかった。つまり、まだ誰か人がいるという事で。
「おいおいやべーよ、一体いくらかかるんだよこれ。5万じゃ利かねんじゃねーの? つか払える金なんてなくね? 今月厳しくね?」
俺は重い体を起こし、ソファーの上に綺麗に畳まれている自分の服を漁る。
「……あれ? 金、減ってないぞ」
財布の中身は減ってないように見えるが、これも安心とは言えない。昨日の夜、思い出せないだけで誰かから、もしくはどこかから借りてきた可能性だってあるからだ。
いや、待てよ? そもそもこれがデリバリーだったとして、金が残ってるのはおかしくないか? 普通こういうのは前払いだろ……うん。
俺は浴室へと繋がっているであろうドアに視線を向けた。シャワーの音はもうとっくにしていない。
まさか、知り合いとかじゃ……ないよな?
ドアノブがゆっくりと下ろされ、ゴクリと生唾を飲み込む。
これでもし知り合いが出てきたら俺はどんな顔をすればいいんだ?
逡巡してる間にドアが開かれ――そして、
「あ――山本さん、起きてたんですね」
「……う、そ」
バスタオル姿の女性が姿を見せた。
その女性の顔には見覚えしかない。
「
日常生活でよく目にしている彼女は――職場の後輩だった。
――――――――――――。
どうも、深谷花びら大回転です。
諸事情により、もう一度これ掲載し直します。よろしゅう!
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