【第4部】その絆は正か否か

プロローグ

怨嗟の言葉



 ――― 忌々しい。





 これまでの出来事を思い返し、怨嗟と共に吐き捨てる。



 予想外だ。

 脆弱であるはずの彼らが、最小限の被害でドラゴン討伐を進めているなんて。



 ドラゴンが目覚めたが最後、なんの力もない彼らは、なすすべもなくドラゴンにほふられ、この国は血の海に沈むはずだったのに。



 何もかも、あの剣のせいだ。



 最初のドラゴンが目覚めたあの時、まるで狙いすましたかのように現れて、窮地を救っていったあの剣。

 あれが、彼の意志だとでもいうのだろうか。



 自身は眠っている今でも。

 人間の心が様変わりした今でも。



〝共にありたい〟



 そんな理由で、まだ人間にくみしようというのだろうか。





 ならば、そんな世界など―――

 そんな人間など―――




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