待ち時間

バブみ道日丿宮組

お題:魅惑の帰り道 制限時間:15分

『大丈夫だから、心配しないで』とメールがきてから、数十分。

 未だに彼女は家にこない。

 やはり迎えに行ったほうがよかったんじゃないかと思う。

 心配を解決するのは大事。

「にゃー」

 愛猫である子猫が私を見て鳴いた。

 落ち着けとでもいってるのかもしれない。

 子猫なのに、並大抵ない心の強さだ。

 抱き寄せて、足元に下ろす。

「にゃー」

 丸くなった。

 心配しなくなるまで、一緒にいてやろうという精神か。

 メッセージ送ろう。

 メールだと見てるかわからないし。

『いまどのへん』と、こういうのは簡単な方がいい。

 ついでにスタンプも貼ろう。

 色鮮やかなのもさらにいいよね。

 それから数分後、子猫が寝息をかいた頃にメッセージが返ってきた。

『今ウィンドウショッピングしてるから、もうちょっとかかる』と。

 それならそれで連絡してくれたらいいのに。

 相変わらず彼女は自分中心的だ。まぁ……そこがまた魅力的ではあるというのだけど。

 さすがに子猫を足に置き続けるのは痺れると思ったので、寝床へと運送開始。起こさないように慎重に身体を持ち上げる。

 彼女の身体と同じようにむちむちしてる。

 さすがに性的欲求を感じることはないが、癒やしを感じる。

 さらに数分後『あと五分ぐらいでつくよ』とメッセージ。

 やっとか。

 そうだ。お風呂沸かしておこう。

 一緒に入りたいし、きっと汗だくで帰ってくるだろう。

 真夏の外は夜になっても地獄のように暑い。下着が見える透けブラ現象は嬉しいことだけど、他の人に見せたくはない。彼女はそれでなくても、銀髪という色を持ち、沢山の人に見られてしまう。

 家からでないようにいうのは簡単だが、実施することは不可能だ。

「……」

 リビングに飾ってある彼女との写真を見る。

 宝石のように大切にしたい思い出の一つ。

 隣にいるのが僕という子どもみたいなのが、残念だ。

 ぺたぺたと触る。

 凹凸のない身体は残念でしかない。

 毛が生えるくらいの事象は怒ってるが、膨らむという結果にはたどり着けなかった。

 でもいいんだ。

 その代わりに彼女が大きいから。僕が触って楽しめるから。

 だから、自分の変化を気づくまでに、時間がかかってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

待ち時間 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る