ガルド奇談・序
ルマール
第0話 プレリュード
夜もあけそうな頃。都内のとある町。そこで、それは、突然始まった。
突然何処かで生まれた、紅い光。それは、その街を、すぐに呑み込んだ。
街の中には入れなくなり、連絡も取れなくなった。
すぐに拡散され、朝のニュースでは速報で報じられ、すべてのテレビ局は生中継。
全国の人々は、その動向を見守ることしかできなかった。
SNSでは流言飛語が飛び交い、あっという間にトレンドTOP。
2chでも疑問や心配の声は飛び交い、考察を試みるものも現れた。
異世界からの侵略説、地球のマナの暴走説など、突飛な説を唱えるものもいた。
だが、これは致し方なかろう。この現象を現代の科学では解明できなかったのだから。
だが、現代科学、いや、今後どれだけ科学が進歩しようと、
その範疇を超えるであろう力は存在する。
《魔法》
過去の超古代文明も、未来の科学も、宇宙人の超技術さえも到底及ばないこの力を知るものは多くないし、扱える者も非常に少ない。
扱える素質があろうとそれに気付かずに一生を終えるものもいる。
特に、周りに一般人しかいない場合、その素質を知ることすら難しく、なんらかの特別な非日常体験–この世ではないものとの邂逅、事件に巻き込まれる、そして死を覚悟する体験など–がなければ、ほとんどの素質ある者は己の力に気づかない。
だが、《魔法》を扱える者-《魔術師》-は社会において神ともなりうる存在である。
現代において、文明の力で魔法を止めることはできないからだ。
犯罪をおこせば科学による証明や防止が不可能であるため、完全犯罪を成立させられる者もおり、テロや攻撃を仕掛ければ、核兵器を使おうとも制圧することができない者もいる。
この力を犯罪に使い完全犯罪を重ねる者がいれば、
社会の安寧のために力を使い、人々を守る者達もいる。
光の中に突入しようとしたものたちがいた。だが、突入したその刹那、別の街との境界に
飛ばされる。警察や自衛隊は、町を包囲することしかできない。
魔術師の一部も対処しようと動いたが、光には何もできなかった。
結果的に周辺の拠点から観察、分析するしかなかった。
光が街を飲み込んでから半日ほどした頃、突如光は消えた。
どんな力によっても対処できず、中に入ることすらできなかった光が消えたのだ。
戸惑いや不安を抱きつつも包囲していたグループは一気に突入。
幸い、市民に被害はなかったようだった。だが、証拠になるようなものも一切なく、
捜査・調査の類いは全く進展しなかった。
それから半年。
光に包まれた町や町の人々に大きく変わったことはなく、その人々の周りのものは安堵し、
その他のものは肩透かしを食らったように思った。だが、半年もすれば人々の記憶は
薄れ、そんなことなかったように過ごすものが多かった。
だが、このような異常というものは全く変化を与えないはずもない。
小さいかもしれないが、変化はもたらしていたのだ。誰も気づいていないだけで。
その頃、1人の物書きの物語が書き上がった。
その物書きは、物語を見返し、満足げな顔をして、こう呟いた。
「ついに完成した!これこそが、ボクが思い描いたとおりの物語だ。」 と。
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