オリバの嫁

映木

第1話 オリバの嫁

空港に飛行機が着いた。扉が開き

タラップから、あの男が降りてきた。

男の名は、オリバ。

人間とチンパンジーの混血。ヒューマンジーである。


白いスーツに、葉巻をくわえ、横には

マネージャーの、ハロルドスミスが居た


「ようこそ、長旅ご苦労さまです」

出迎えたのは、興行師のジミー林だ。


「さあ、こちらへ」

ジミー林は、オリバとハロルドスミスを

リムジンに、案内した。

行先はホテル。来日記者会見をするためだった。


ホテルに着きリムジンを、降りたそこに、やってきたのは、TVプロデューサーの和田俊一である。


「お待ちしておりました。和田てす」

和田は、会見場所に、三人を案内した。

スーツを着て二足歩行で歩くオリバに

報道人は、びっくりしていた。

会見場に、三人は着席。会見が始まる

司会者がマイクを握り。


「お集まりいただき、ありがとうございます。このたび世界のスター、オリバ氏を日本に、お招きしました。」

拍手がおきる。


「知ってのとおり、人間の染色体は46本

チンパンジーの染色体は、48本。このオリバ氏は、じつに47本。まさに我々人間と猿の間に存在する生き物なのです」

ざわめきが起きる会場。


「これから日本での、オリバ氏の活躍が楽しみです」

拍手がおき、会見が終わる。和田はオリバと、ハロルドスミスを部屋に、案内する。ハロルドスミスは、一般の客室。

オリバは、スイートルームだ。


和田と興行師のジミー林は、ロビーで

打ち合わせをする。


「今から、オリバ氏が、マネーの雨を降らすぞ和田」


「あんなチンパンジー信じていいんですかね?」


「チンパンジーじゃない!オリバ氏だ

言葉に気をつけろ」

ジミー林は、怒鳴った。


「いいか和田、オリバ氏の泊まるホテルは、すべてスイート、食事は、フルコースのディナー、車は、リムジンだ、必ず用意するんだぞ」


「わかりました。すべて用意します」

和田は、気が乗らんが、ジミーの言う通りに、するしかなかった。

なぜならこれからすべて、オリバの出演する番組は、和田がプローデュースできらからである。


そしてオリバの特番が、放送されると

高視聴率をマークした。

日本のテレビ史上でも、トップクラス

だった。そしてオリバの関連の書籍

グッズは、飛ぶように売れた。

この時期のオリバのギャラは、番組

一本で、三千万だった。


このころから和田は、オリバが本当の人間のように見えてきた。

タバコも吸うし、ビールも飲む顔も人間に近い。やはりオリバ氏は猿ではなく

人間だ間違いないと。

しかし、視聴率が上がりオリバ人気が高まる事に、和田は、不安な気持ちをいだいていた。


そんな不安気持ちは、的中していく。

オリバは、しだいに傲慢になりテーブルをひっくり返す、ビールの瓶をADに投げる、しだいに手に負えなくなる状態になってきた。


和田が、悩んでいた時ジミー林から部屋にくるように言われた。行くとそこには、ジミー林、ハロルドスミスそして

オリバが、葉巻を吸い待っていた。


「和田、ある企画を思いついた、やってもらうぞ」

ジミー林は、真顔だった。


「何でしょうか?」

和田は、不思議そうな顔で聞いた。


「オリバ氏に、結婚してもらう」


「はぁ!私に何をやれと?」


「嫁探しに、決まっているだろう」


呆気にとられる和田に、続けてジミー林は言った。


「わかっていると思うが、人間の女を用意するんだぞ」


「人間の!!猿の嫁になる人なんて居るわけないでしょうー」


「言葉に気をつけろと言ったろ いいかオリバ氏の人気は、とどまるところを知らない。さらにマネーの雨を降らすんだ

テレビの視聴率が、さらに上がるとお前は、テレビ局長だぞ三流大学出身のお前がな!」


ハロルドスミスは笑みを浮かべた。

和田は、悔しくて唇を噛んだ。


「どうすれば?」

和田は、やる気なく聞いた


「募集しろ、いろんなタレント事務所

一般でも良い。懸賞金も出す。」


「いくらてすか?」


「一千万だ」


和田は、驚き声が出なかった。この人達は、本気だと思った。

オリバは、こっちを見ていた。

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