病室に住まう美少女が、誕生日がたったの1日違うだけですごい年上づらしてくる件について

@Ono_Nanaka

 第一章 出逢いの季節

 プロローグ

 それは、ひとつの紙飛行機からはじまった恋だった。



 頭に包帯を巻いている人。点滴スタンドを押している人。車椅子を漕いでいる人。

 ほかにも、じつにいろんな人が行き交う廊下を歩いていたとき、


「いて・・・・・・」


 後頭部あたりに、なにかぶつかった感触。

 まったく痛くなかったけれど、僕は反射的にそんな言葉をこぼした。


 振り返ってみるが、なにもない。

 それから、ふと足下に顔を向けると、


「・・・・・・紙飛行機?」


 ぽとっと転がっている、ひとつの紙飛行機を見つけた。

 僕は小首をかしげて、それを手に取る。


 と、そのときだった。


「――あ、ごめんなさい!」


 横手にあった病室から、そんなきれいな声が聞こえた。

 そのあとすぐ、また声が聞こえてくる。


「それ、風に飛ばされちゃって!」


 僕は目をしばたたく。

 それから、その声の元へと歩みだして――



 西宮明奈にしみやあきなと出逢った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る