バッドビート

あきかん

ヘッズアップ

 BANG!!!

 隣の男が拳銃で撃たれた。まだチップは残っていたのにもったいない。残されたのは俺たち二人。これで勝負は単純になった。俺好みの展開だ。


「男の勝負は単純だ。勇気を出して賭けに出る。それとも、許しを請うて勝負を降りるか。その二つしかない。」


 勝負はリバー。最終盤。俺の手札はスペードのエースとハートの6。開かれたコミュニティカードはハートのエース、スペードの5、クローバーのジャック、スペードのキング、ダイヤの4。

 賭けをするのには悪くない手だが、勝負に出るには心もとない。いまさら引くつもりはない。あとは、流れにまかせるか。


「オールイン。楽しもうよ。」


 まったく、厄介な相手だ。少しは床で寝ている同席していた男に同情の念でも抱いたらどうだ。これだからポーカーが好きな奴は信用できない。結局こいつも俺と同類ってわけだ。ハッタリも通用しない。技術でどうにかなる展開でもない。イカサマがあっても見抜けなかった俺の責任だ。

 俺も全額ベットしてチップを全てテーブルの中央へと寄せる。これだから、ポーカーはやめらんねえ。あとは野となれ山となれだ。

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