4
*
パパは大きなくじらのように波にのる。
大きくターンししぶきをちらす。
海いっぱいを使ってドライビングしエアを決める。
ヒトには聴こえない声で鳴く。
海に身体すべてをあずけて歌う。海と、ユリさんにだけ聴こえている。
そうやってヒトを…自らを傷つけるものを波にぶつけてくだいて洗ってゆく。
いつか、多々戸の海とおなじ、発泡するソーダ水色の宝石みたいな優しさだけが、残るんだろう。
それまでユリさんはこうやって、護岸に座って、パパを、見つめているんだろう。
「パパは世界一の波乗りなの、スタイルがイカすでしょ?」
て、目をハートにしながら。
それでいいだろう?
どんなチビも、よりよく生きる権利がある。
だれかに愛される、権利が。
「な、雪」
「あぁ♬」
愉快そうにバンザイして、雪はまた海岸にポッキーをばらまいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます