5

 *


 「え、なに?」


 ザ バーン


 海上がりの風呂に、なぜか大人サイズの男が三人。お湯があふれる。


 パパ、オレ、


 「なんでいんの?」


 と、カイト、


 「買い物、いくって聴いた」

 「いや、で、なんでおまえいんの?」

 「オレもいくし」


 凶悪な目ですっごいまじめなに応えてくる。むしろなんでそんな当然のことを聞いてくるのか、みたいに口を尖らせている。


 いくし…いくし? なんでそこ当然感がでてる?


 パパに視線をやってもぼんやりとすきだらけな顔で海を見ている。

 海を見ているふりをしてあれはユリさんのことを考えている顔だ。ユリさんの服も買うつもりだろう。


 「そのあと遊覧船にのるから」

 「え、そうなの?」

 「オレもユキちゃんと遊覧船のる。で、夕飯食って、」

 「え、そうなの?」

 「きょう、泊まる」

 「え、そうなの?」

 「そうだよ」

 「…そうなんだ」


 もう、なんてこたえたらいいのかわからなくて、ただ頷いた。

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