ドキュンパジャマ

1




 「ゆき! ゆき!」


 「いいましぇん! いいましぇん!」

 「いります! こら雪!」

 風呂でて、なんとか歯磨きさせて、


 「ゆき! ゆき!」

 「うっしぇ! うっしぇ!」

 なんとかパジャマを着せようとするのに、


 「雪、おやすみだほら、パパにおやすみしような」

 「おやすみない! ない!」

 「そうだユキちゃんはパパとはらぺこあおむしを読むんだ」

 「パパ黙っててください」

 「あおし あおし」

 「おやすみしないとガガンボくるぞ、ほら」

 「なに? ががんぼって」

 「わがままゆうとでる妖怪、すよ。雪、ほらうさちゃんのパジャ、」

 「うきーーーーーっ!」


 日々、格闘。


 ひっちゃかめっちゃかだ。


 夕飯食いながら寝ちまう日もあるし、起きていたい日にはパジャマも着ない。

 終いには奇声を上げてぽかぽかオレの顔を叩いてくる。手に負えない。


 この世でオレの手に負えないなかったものは、雪だけだ。


 どんな教育うけてきたんだ。つか必死にぽかぽかしてくる雪もかわいい。


 絵本を手にパパにひっつく雪を引き離してパジャマのまえボタンを、


 ブッ


 「、」

 「あ?」

 「あら、」


 「うきゃぁぁぁぁぁあ♬」


 なんと、パジャマの前ボタンがブッツリとれた。

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