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こいつ、お巡りだわ。
「ありゃ!」
ピンクの浮き輪を抱えたチビ…雪を抱えて店をとびだす。
「おにいちゃん! どうしたじゃんね!」
おばちゃんの声が追いかけくるけどそれどころじゃない。
「おいっ! 坊主っ!」
オヤジの鋭い声も、矢みたいに追いかけてくる。
しゃがれた声にしわしわ日焼けした顔、間延びした駿河弁。小柄な坊主頭、浮かれたアロハシャツに傍に釣竿。
と、スリとおなじ、隙のない鋭い眼。
警察だ。
「にいちゃん! にもつにもつーっ!」
ヤバいっ
捕まれば雪を連れてかれちまうっ
ターミナルをでて国道を走る。
どこに逃げたらいい?
まったく土地勘はない。
むしろ駅に戻るか?
そうだ、梅ちゃんに連絡…っ
「うきゃぁぁぁぁぁぁあ♪」
全力疾走のオレに雪は上機嫌だ。
「ゆき…意外に重てぇな…デブったか…」
背後から軋んだブレーキ音。
来たか?
パトカーじゃないのか?
旋風が耳を掠める。車体が肩をかする。
「えっ」
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