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「これが、サーフボード」
梅ちゃんがオレのために用意してくれたのは、ブルーの中古ボードだ。
いろんなシールが貼ってあったりボードの裏には手書きの英語が書いてあったりして、なんだかできるひとっぽい。
「こっちはデッキ、こっちがボトム、」
護岸に座って、まずはヤンくんの座学をうける。
なぜヤンくんなのか。
スポンジボードにのっかってお尻をフリフリしてる雪に夢中のパパに、
「あの、波乗り…、」
声をかけると、
「うるせえいまいそがしい」
て、一蹴されたからだ。
「そうだ、ユキちゃん、うまいぞ、天才だ」
「あぁ♪」
「ユキちゃんならワイメアの波だってのりこなせるさすがオレの息子だ」
まったく雪の親父じゃねぇけどとりあえず雪のエアサーフィン撮影に夢中になっているパパは、そっとしておくことにした。
「パパは、小さい子を見るとじぶんの子だと思っちゃうらしいんだ」
なんだよそれ、こわすぎだろ…
「で、これが、ワックス」
「ぶっふぉっ」
手渡された小さな箱に思わず吹きだす。
『SEX Wax』
せ、
せ、
「これ、ヤンくんも、これ…使ってんすか?」
「みんな使うよ」
サーファー…ぱねぇ…
箱から恐る恐るとりだす。手のひらにちょうど収まる白い、丸いかたまりはふんわり、いい香りがする。なんか、くせになる感じの。
「いいにおいがする」
「ぼくもこのにおい好きだよ、気分があがるよね」
え、まさか、夢中ってそゆこと?
せ…なんかエロい幻覚でるとか?
ヤバっ、雪には見せらんねぇな…
浜へちらり、目を上げると、雪はいつ現れたのかラブラドールとハスキーのあいの子みたいな野良犬にのっかって遊んでいた。サーフィンには飽きたらしい。
「これ…ぬるとどうなんの?」
「滑らなくなる」
「すべっ……、そ、すか…」
「彼女さんも、使う、んすか?」
「使うよ、わたしはロングだから、ワックスアップなんかは一回に半分は使う」
「…すか」
「夏用はベース、こっちが冬用」
「はい、」
カイトが、ヤンくんの向こうからすげぇニヤニヤこっちを見てくるのがうっとうしい。
「そしたらこれ。必ずつける。これはリーシュコード」
「はぁ、」
「付け方なんだけど、」
サーフィン、半端ねぇな…
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