5. ステータスカード

5. ステータスカード




 今日も学校が終わり、そのまま家に帰る。咲夜さんとは学校では一言も口を聞いていない。隣の席なのに。そして気づいたらもういなかったしな。


「ただいま」


 いつもならリビングでゴロゴロしてるのに……咲夜さんもいるし、自分の部屋に戻ることにする。ふとリビングのテーブルを見ると一枚の紙が置いてある。


「なんだこれ?履歴書?」


 オレが不思議がっていると咲夜さんが部屋から出てくる。


「お帰り霧ヶ谷君。あなたも書いてほしいわステータスカード。お互いのことを知るために必要だから協力して」


「え?ステータスカード?これ履歴書じゃ……」


「どこ見てるのよ。ちゃんとステータスカードって書いてあるじゃない」


 オレは履歴書を見ると、確かにバツ印がしてあり、可愛い文字でステータスカードと書いてある。そうかそう言うことね。


「それより早く書いてちょうだい。私のを参考に頼むわね」


 オレは自分のステータスカードを書くことにする。咲夜さんのを参考に?何かパラメーターまであるんだが……何を基準にしてるんだこれ?とりあえず適当に平均にしておこう。スキルも魔法もないわけだしな。


 で。こっちは持ってる資格とか今までの習い事とかか。咲夜さんピアノとスイミングやってたんだ。……いい。めちゃくちゃ可愛い。いかんいかん。想像してしまったぜ。


 書き終えると咲夜さんに手渡す。すると咲夜さんはそれをじっくり見つめている。


「平均的ね。知識が高いわけじゃないし……ん?」


「どうかしたか?」


「あなた……異種言語を話せるの!?すごいじゃない!異種族と交流するために必要なスキルだわ!」


 異種言語?異種族?あー……もしかして英検の事か?オレたちからすれば英語は異種言語ではあるけどさ……確かに自慢できるようなほどじゃないが、日常会話程度ならそれなりに自信はあるぞ。


 まぁそんなことは置いといてだ。これでいいのか?さっきからずっと見られてるんだけど。


「ありがとう。あなたのステータスカードは分かったわ。私は水中戦なら得意だから、万が一、パーティー戦があった時は任せてね!」


 そう言う咲夜さんの顔がめちゃくちゃ可愛い。普段の学校とは違う。こんな顔もするんだな。オレにだけ特別だったりして?なんて考えてたらまたニヤけてしまう。ダメだ落ち着けオレ。


 その顔に心を奪われたオレは、冷静に考えて咲夜さんの言っていた水中戦っていつ起きるんだよ?という突っ込みを忘れてしまっていたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る