the Fallen darkness

@I-Nameless

霊話 はじまりのひ

時は2030年代頃、

名門お嬢様学校 紫百合女学校

その学校の生徒の1人、奄野宮有栖は迎えの車に乗ろうとした瞬間。

コートを着た知らない人にぶつかりそうに成った、警護にS.Pが居るにも関わらず。

その後、そのS.Pをクビにした、

同じく別の場所。

高層ビルの屋上、

森崎モモはビルの柵の外に立ち、

同じ学校のクラスの仔の桂木カナとその幼馴染の深谷フミナは止めようと懸命に声を出した。

が、

「ごめんね、でもやっと分かったんだ。私はどんな絶望の中でも闇には堕ちない、戦う力が有っても勇気が有っても。其れでも戰いたくないって、逃げてばかりも悪くは無いんだよっと」

そうして飛び降りた。

その直後、

「我は我。汝は汝、我は汝に非ず。汝は我に非ず、極端な闇と光りに飲まれて消えよ我と汝の影、けがのじんなとれわよえきてれまのにりかひにみやなんたくょき、ずらあにれわはじんな。ずらあじんなにれわ、じんなはじんな、れわはれわ」

森崎の姿が消えた、

と想ったらまた現れて、消えて現れて消えて現れて消えて現れて消えて現れて。

鉄柵の先端に自らの身体を刺した、心臓どころか胴体に、

『たった1つの願いの為の戦い』が暫く膠着状態に成った、

残りの奏者が2人しか居ないが2人共放棄したからだ、

何方も叶えたい願い、叶わなければ闇に墜ちる。分かってた筈なのに…

数時間後

粟野宮宅にて、

部屋着のドレスを着て椅子に座り鞄から明日の支度をしていたら、

「…何ですの?汚わらしい」

コートを着た人にぶつかった時に入れたのだろう、

キーホルダーかペンダントか何かだろう、

付いてた紐に指を透して投げ縄の様に振り回して、投げようとしたが出来ない。

まるで指にくッ付いたかの様に、

「なっ!」

左手でペンダントの紐を掴んで投げようとしてもくっ付いて出来無い、

ペンダント本体は恐らく金属だから紐は違う素材だから鋏で切ろうとしたが切れない、

「何ですの!ワタクシを馬鹿にして!」

❲…違うよ、貴女は選ばれたの❳

菴野宮は声のする方に向けた、

部屋の真ん中に小さな箱が置かれてた、

「貴方何者!1体何?選ばれたって?」

腰に手を当てふんぞった姿勢で睨んだ、

〔…僕はネクスト、ネスクベバイオン。前の奏者から直々に貴女を奏者として指名された〕

「だーかーら!奏者は何ですか!」

小さい箱を菴野宮有栖は蹴った、

スポンジの様な変な手応えを感じた、

蹴られた箱は蹴飛ばされずそのままの位置に留まった、

〔総ての次と成りし存在、未来からの存在。貴女の将来は闇に堕ちてしまう、それを禦ぐ為に来た〕

「はぁ?闇?一体何の事ですの?私のお父様菴野宮現当主、菴野宮阨斗が取り仕切る以上私の未来…」

だがネクスベバイオンは目と思しき部分はモニターと判明して、映像が映った、

その内容に唖然とした。

玄関に私服の警察官2名、

彼等は阨斗が弟の前当主仙斗を殺した容疑がかけられた、

其れからが有栖が落ちるだけ落ちてしまったのだ。

「認めませんわこんなの!」

〔…なら抗いたい?そんな未来?〕

「ええ。勿論ですわ!第一お父様は人を殺す様な…殺す…あっ!」

〔気付いたんだねその人の闇に〕

「ええ…確かに」

庵野宮コンツェルンのトップが仙斗と阨斗とでは違っていたのだ、

仙斗は次のトレンドが予測し難く、技術やアイディアも『枯れた技術の水平思考』が多くまた社員の待遇や顧客の対応も相当手を入れてたが、

阨斗の時は次のトレンドが当たり易く、アイディアも技術も『当時の最先端』を求めた。だが、売り上げを優先して社員を逆に苦しませて入るのだ、『24時間戦う企業戦士』其れが阨斗だ。

「ならその方法を教えて!」

〔良いよ。先ずはそのペンダントを手に聖句を詠唱して〕

「こ…こう?」

庵野宮は右手にペンダントを握り締め左手で覆った、

〔次に言う聖句はこう。『我は奏者の為の雷で有り奏者の願い事を聞き入れ惑わすもの成りけり心の中を解き放て』続けで真似して言って〕

「『我は奏者の為の雷で有り奏者の願い事を聞き入れ惑わすもの成りけり心の中を解き放て』」

広い屋敷の一角に在る有栖の部屋のクローゼットから淡い光りを放ち消えたと想ったら内側から開いて人型の何かが出てきた。庵野宮有栖が腰を抜かすのも無理は無い、

そもそもそのクローゼットは毎日取り替えるモノを入れるのに使うのだが、其処に推定全長2mの人型ロボットが出てくる何て想像も付かなったからだ、

「ひっ…」

思わず悲鳴を漏らしたが、

〔アレがネクスベバイオンの本体、貴女の近くに在るのが貴女と話をする為の分身〕

「私がこの本体に指示を出して戦うの?」

〔いいえ。違うよ、貴女と一体になるの〕

「ソレはどういう?キャ!」

庵野宮有栖の身体が光の粒子と成って消えたかと思ったが、その粒子をネクスベバイオンが吸い込んで言った、

華奢で在りながらも力強く異様な形状のネクスベバイオンの頭部のバイザーが透け初めて其処から庵野宮有栖の顔が見えた、

〈…?〉

ネクスベバイオンと一体化した有栖は自身の手を動かす仕草をしたら、

ネクスベバイオンの腕がそのまま動いた。

〈なっ!〉

有栖は慌てて何かを探した。

ネクスベバイオンの分身、

だが既にいない、

(貴女が聖句を唱えて一体に成った事で正式に戦いの準備が入れるんだ)

〈ソレでもう1つの条件は何ですの?〉

(貴女のお父さんの事だね、それは君と同じ奏者とネクストと戦い最後の1人と1騎に成れば良い)

〈つまりはデスゲームですの?〉

(そうだよ、そして貴女を含めて残り3騎、その3騎と戦う為に聖句を詠唱して)

〈我は奏者の為の雷で有り奏者の願い事を聞き入れ惑わすもの成りけり心の中を解き放て〉

その部屋に有ったクローゼットから出て来た全長2mの人型ロボットが一瞬で消えた。

同時刻、桂木カナと深谷フミナの手元に瞬間移動の様にペンダントが落ちていた。しかも光っているのだ、

2人がまさかと想い聖句を詠唱したら、

通常の空間とは違う、超時空空間、

カナのネクスカリヴァーンとフミナのネクスアルトロンの前にネクスベバイオンが両手に腰を当てて立っているかの様に空中に浮いている。

〈貴方は?〉

カナの問に対して、

〈貴方に答える義理は御座いません、ただ私も闇に墜ちる訳にはいきませんのよホッーホッホッホッ〉

口元近くに手を上げて有栖は笑った、

〈…もう終わらせようこんな事は、先ずはこいつから!〉

〈ええ…同意見ね〉

2人は共闘した、

が2対1にも関わらず圧倒的気味だ、

以前の奏者の時の装備はマナブラスター(銃身下部にマナヒートブレードの兼用)のみだが、其処に新たにマナマシンカノンを背部に2丁装備されてた。

2人が知らない追加装備が有った上に詳細の知らない人間が相手の為、苦戦したのだ。

ネクスカリヴァーンの手にしたエーテルソードの一閃も、突然の新規参加者で動揺したのか完全にぎこち無く大袈裟に成ったのだ、ネクスベバイオンのマナヒートブレードがネクスカリヴァーンの右腕を斬り落とし更には胴体に深々と刺した、

(残り2騎)

ネクスアルトロンは盾を展開して空間を操作しようとしたが動揺したのかおぼつかず、

目の前に現れた時には…

(残り1)

〈…ついに…ついに叶えられますの?〉

(はい)

ネクスベバイオンの前を飛ぶ巨大な蝶の様な機械が飛んで来た。

(あれこそがたった1つの願いを叶えてくれる存在ネクスオベロン)

(我はネクスト…ネクスオベロン、貴女の願いは何だ。闇を押し出し貴女を苦しめ無い運命をもたらす願いとなるか?)

〈ええ…願いなら有りますわよ、庵野宮武史とその妻、庵野宮椿姫の産まれし子供は1人、庵野宮阨斗!ただ1人!そしてその人の妻庵野宮麗香の子供も1人、それがワタクシ庵野宮有栖ただ1人!〉

(…願いなら確かに聴き取れた。では始めよう、『我は願望器、我は奏者の為の武具。我と同じ存在は存在する、願望が有れば戦い最後の1つと成ればその役目は果たせる』)

ネクスオベロンは禿しく羽ばたきながら光すの粒子を辺り1面に広がった。

気がつくと部屋に居た、

窓を覗くと、窓にはネクスベバイオンと成った有栖の姿が反射して映ってた、

細見で華奢でありながらも力強く美しい形状でありながらも女性が使うものでもあったのか出ている所は出ていて、絞ってる所は絞ってる、

手で臀部、腰部、胸部等を触って確かめた。ネクスベバイオンのバイザーには何も見えないと同時に、

粒子が放出して有栖が姿を表した、

「コレでお父様に罪は無いのですの?」

〔そうだよ、1人しか産まれ無いから殺す事は無い、でもソレは君の命の心配も必要だよ〕

「…そうね」

〔もう会えないのは確実だけども。さようなら〕

「此方こそ有難う御座いました…ホッーホッホッホッホッ!ホッーホッホッホッホッ!」

そうしてネクスベバイオンは姿を消した。

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