女子大生、バイトする。

なーなー

大学1年生の時。

第1話 働くまで。


 大学生になりバイトを探していた。

「実家からも大学からも近い」夢のバイト先を探すうち、気付けばGWが終わってしまった・・・


 人生18年、最大の財政難に陥った。

コンタクト買わなきゃいけない。

夏服も買い足さなきゃまずい。


「カフェのバイトとかどうなの?」

「そろそろバイトしないと遊ぶお金ないでしょ?」

「塾講は?」

「コンビニもいいらしいよね。」


「そろそろしないとさ~。」

友達とバイトの話題になるたびにへらへら返事をしていた。

 バイトする気持ちはある。

バイトするって大人な感じするし、遊ぶお金くらいはバイトで稼ぐように親からも言われてる。


 問題は私の性格なのである。

当時、私が場所の他に希望していたのは以下の4つ。


・近場で生活を完結させたい。

・月に3、4万稼げれば幸せになる。

・できれば楽な感じの仕事がいい。

・さらにできれば同僚が少ない方がやりやすいかも。


 働きたいけど、やる気のない女子大生だったと思う。

この状況はやばい。


 お金がない、やばい、友達にバイトしてない人いない、そんな状況だったのに。


 私の手にはずっと前から気になっていた歌手のCDがある・・・

賛否両論があるのは重々承知の上で書くが、CDはレンタルして小型のプレイヤーで聴く派だった。

1枚買うよりはすごく安い。


 ・・・安いが、月に何枚も借りるとそこそこな額になる。

私が財政難に陥った1番の原因。

でもレンタルCDは私の命。


 もうつべこべ言っていられる状況じゃない。

今日中に面接受けたいところだけ探す。


 でも場所は絶対に譲れない。

実家から最も近い私大に合格し(本当はさらに近い県立大も受けて見事に落ちた)、時間にゆとりを持ってまったり生きていた私は「実家から近い=最高」と言う式を持っていた。


 追い詰められたせいなのか、18歳の私は面接を受けたいところを最寄駅の商店街で探すことにしたのである。



 商店街で求人のポスターがないか探し回る。

ケーキ屋、スーパー、郵便局、レンタルCDの店と見て回るが連休明けにバイトを探しているお店はなかった。

 就職した今なら分かる。

探す時期が悪い。長期で働けそうなら3月か4月に探さなければダメだったと思う。


 もうお金が稼げればなんでもいい・・・

ちらりとクリーニング屋の窓を見た時だった。



「求人」


探し求めていた2文字を見つけた。



 店頭で簡単な説明を受け、数日後に面接と採用の連絡を受けて私は晴れてクリーニング屋の店員になったのである。

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