学園連続狙撃事件 ④
午後の授業も終わり、放課後になると、碧と東間の2人は寮に泊まることになった。
この高校には寮もあり、男子寮と女子寮に別れている。
2人は中庭で待ち合わせをしていた。
「東間、何かわかった?」
「いや、今日知り合ったやつに事件について聞いたらそんな事は聞くなだとよ。何かと面倒くさそうだな。この学園」
「私は、あそこの柵で囲まれた木で自殺があったってのを聞いたくらいで、事件の関係者については何も」
「あの木でか……自殺ねえ」
ベンチに座りながら情報を共有していると、とある男が目の前に現れた。
「君たち、既に下校時間は過ぎている。寮に戻るか、家に帰りなさい」
その男は制服を着ており、黒髪のやや鋭い目つきであまり冗談が通じるような見た目はしていない。
「誰?」
「生徒会長でしょ、あんた資料見たの?」
「まぁ2ページ程」
「ちゃんと読みなさいよ」
「生徒会長の
「「はい、そうですけど」」
「なら早めに帰った方がいい、あまり良くない噂が流行っているからな」
「「噂?」」
「ああ、悪霊が出るらしい」
「すみません、その話詳しく聞かせてもらえますか?」
碧はカバンからメモ帳を取り出した。
「……まぁいいだろう。半年程前の話だ。とある女子生徒があそこの木で首を吊って死んだらしい。それ以降、夜の中庭には悪霊が出るらしい。まぁ根も葉もない噂だがな」
碧はメモをしていたが、東間は寝ていた。
「そこの君! 人の話を聞け!」
「……ふぁ?」
「とにかく、早く帰りなさい」
白石はその場を去った。
「……それ参考になる?」
「とりあえずメモしておけば損は無いわ。調査は明日ね」
「そうだな」
2人は別れて、それぞれの寮に向かった。
翌日。
東間と碧は再びそれぞれで調査をした。
生徒達はあまり快く思わなかったが、口外しないという事で殺人事件について話してくれた。
殺害された人物は複数人でとある人物をいじめていたという情報を得ることが出来た。
そして、その人物と仲の良い人物が今は寮に引きこもっていると言う。
東間と碧は男子寮にいるその人物の部屋に向かった。
「……ここにいるのか」
「鍵は……空いてるわね」
ドアを開けると、その部屋は散らかっていた。
ゴミもろくに出しておらず、掃除もここ数週間はしていないと思われる。
「あのー」
東間が話しかけると、男は怯えた顔で2人を見た。
「や、やめてくれ……殺される……」
男は汗をダラダラと流し、足を震わせ、2人から距離を置く。
「いや別に私達は殺しに来たわけじゃ」
「俺は何も悪くないんだ、ただあいつらに……あいつらに……」
「あいつらって……誰の事だ」
男は口を開いたその時。
額に穴が空いた。
東間の目の前で黒い弾丸は止まり、消滅した。
男の額から血が飛び出し、息絶えた。
「マジかよ……」
碧はすぐさま弾丸が離れた方向を見る。
窓に弾痕があり、そこの射線上には、校舎から伸びる時計塔があった。
「あそこから……撃たれた」
その後、警察が現場を捜査、碧達は事情聴取された後、解放された。
警察には潜入捜査をしている事は知られていない。
碧は狙撃現場と思われる時計塔の中へ向かう為、管理室から鍵を借りようとしていた。
東間は目の前で人が死んで少し気分が悪くなった為、寮の部屋で休む事にした。
「あの〜すみません、時計塔の鍵をお借りしたいんですけど」
「あぁ? あそこの鍵は無いよ。もう錆びて使い物にならねぇ」
「そうなんですか?」
「ああ、随分と昔に出来たものでね、もう時計も動いてないから、ここで管理する必要も無いの。さっお嬢ちゃん。帰った帰った」
碧は渋々寮に戻ることにした。
時計塔を見てみると、時計の針は全く動いていないのがわかる。
鍵がかかって入れないのなら、入りようがない。
本当に悪霊の仕業なのだろうか。
そう見つめていると、時計塔に誰かがいるのが見えた。
全身黒く、手に長い棒のようなものを持っていた。
それを碧に向けて、向けているのがわかる。
碧はすぐに気づいて、逃げようと後ろに振り返った。
その時、胸に鋭い痛みが走る。
碧は膝をつき、胸に手を当てる。
心臓が熱く、鼓動がどんどん早くなる。
手のひらは真っ赤な血で染まりきっていた。。
碧の意識は暗く、深い闇の中へと、消えていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます