SHADOW POLICE
椎茸仮面
プロローグ
人口6万2000人のそこそこの街である。
この街の名物はなんと言っても晴れの日の多さである。
一応梅雨などの時期もあるが、他の街に比べれば少なく、太陽が照らす日が多い。
街の人々も明るく、心優しい街だ。
しかし、光があれば、必ず影もある。
明るい人程、抱える心の闇は、深く暗い物になっていく……。
「おいてめぇら手を上げろぉ!」
昼下がりの銀行は男の罵声によって恐ろしい場所へと変わった。
目出し帽を被った男はカウンター席の銀行員に拳銃を向け、大きな黒いバッグを置いた。
「ここに金詰めろ、早くしねぇとてめぇの脳天に鉛玉が飛ぶぞ」
女性の銀行員は怯えながら机の下にある通報ボタンを押そうとする。
「てめぇ何押そうとしてんだ? サツに通報したらこいつら全員皆殺しにするぞ。わかってんだろうなぁ?!」
男は拳銃を天井に向けて1発放つ。
市民は悲鳴を上げ、子供は泣いてしまった。
「おいガキ、うるせぇぞ」
銀行員は慌てて金庫に向かっていった。
「最初からそうすりゃいいんだよ……ったく」
その時、トイレの流れる音が張り詰めた空気の中流れた。
女子トイレの中から聞こえたようだ。
「あぁ?」
すると女子トイレのドアが開き、そこから小柄な女が出てきた。
黒髪のショートボブでスーツ姿ではあるが女の中でも小柄な方で身長はおおよそ140後半と言った所か、ひとつ間違えれば中学生と思える程だった。
顔つきは凛々しく、目つきも鋭いが、小柄なのが影響して、拗ねている猫のようでもある。
そんな彼女が男の前の歩いてきた。
「おいお嬢ちゃん、何俺の前に突っ立ってんだ。ぶち殺すぞてめぇ!」
男は拳銃を彼女の顔面に突きつけるも、彼女は何も動揺しなかった。
すると、彼女は男の腕を掴むと、男の脇に潜り込んでそのまま地面に叩きつけた。
いわゆる背負い投げである。
床に叩きつけられる音が銀行に響き渡る。
男は肺から息が抜け、そのまま気絶してしまった。
「相変わらず、この街は厄介事が多いですね」
すると、彼女は胸ポケットからとあるものを取り出す。
それは警察手帳だった。
「
彼女は刑事である。
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