第11話 2度目の花火。恋の導火線〜変わり始めていた恋心
♪♪〜♪♪〜
『今晩、ちょっと会えない?返事待ってる』
祐哉からメールが朝から届く。
♪♪♪〜
『OKだよ』
『何も予定ないから会ってあげても良いよ』
「会ってあげてもって…本当、相変わらずだなぁ〜…まあ、会ってくれるから問題ねーけど」
その日の夜―――――
「ごめん祐哉。仕事長引いちゃって」
「いや、良いよ。俺が急な連絡、朝からしたし、何が起こるか分からないから人生楽しいんじゃん!時間の許す限り待つって決めてたし!」
「そっか。それで?何?」
「花火しねー?」
「えっ?花火?」
「じゃーん!」
花火セットを見せる祐哉。
「あっ!!」
「目についちゃって買っちゃった♪」
「そうなんだ!」
「やろうぜ!」
「うん!」
「仕事で疲れてんのにごめんな。急に誘ったりして」
「ううん」
私達は花火をする。
「友霞と、こうして花火すんの何回目なんだろうな」
「そうだね?何回目なのかな?知らないけど」
「今日で2回目」
「えっ?嘘だー。だって…」
「俺達、運命的に何回も出逢ってるだけ。本当…偶然に…奇跡的に…」
「…そう…だったんだ…」
「そうそう」
2回目?
そう聞いた私は
ただ ただ 驚く
偶然の再会を
人は何と言うのだろう?
運命?
きっと何かに導かれるように
私達は
日頃、常に
出逢っていたんだと……
私達は色々話をして花火をしていた。
ある日の事。
「友霞。花火大会行く?」
義成が尋ねてきた。
「花火大会?えー…その時にフラレたから気が進まないなー。女友達と行ったら?」
「彼女いて女友達誘うか?」
「まあ…そうだけど…私は気にしないよ。だって復縁だし。中には、そういう人いるでしょう?彼女いても、彼女が束縛感ないなら」
「まあ…そうかもしれないけど」
「まあ、一応、予定空けておくから前日にでも連絡頂戴。その日でも良いよ。そんな急いで決めなくても良いんじゃない?まだ、先の話でしょう?」
「分かった。確かに、そうだよな」
前の私なら早く予定入れてた。
だけど、元彼との復縁とフラレた過去がある以上、慎重過ぎなくらい様子見つつも過ごす。
それから数カ月過ぎ――――初夏
「梅雨…明けたかと思ったら、一気に夏だよ。夏はビールをぐーっ!と飲みたい!!」
「友霞、今年は海に行くの?」
あゆみが尋ねた。
「えっ?行かないよ?仕事だし」
「ねえねえ、有給取って海行かない?」
「いや…ダイエットから始めなきゃ…無理だよ。だから却下!」
「何言ってんの?友霞は全然OKじゃん!ねえ、行こよ!つ~事で、今度の日曜日水着Getにしゅっぱーつ!」
「女同士の海も寂しいじゃん!」
「良いじゃん!気楽だし!彼氏と行くのとは、また違うでしょう?」
そして休日はショッピングに行き、二人の時間を合わせ私達は海に行く事を決行した。
「海だーー」と、あゆみ。
「ねえ、やっぱり…ビキニって…マジ恥ずかしいんだけど…」
「全然、似合ってるよ。第一、友霞は、容姿もスタイルも良いんだから羨ましいよ。魅せなきゃもったいないって!!」
「いやいや…」
すると――――
「彼女達、イイネ♪可愛いーー♪顔もイケてるし!2人で来たの?」
「そうですけど」
「彼氏は?」
「残念ながらいるんだーー。ごめんねーー。だから、他当たって下さい!」
あゆみが対応する。
「何、何?別に良いじゃん!俺達も本彼女(カノ)いるし遊ぶくらいなら良いでしょう?」
「ねえ、いくつ?」
「見た所によると…20代半ば?どう?」
「25です!もう、オバサンだから、もっと若い子当たって下さい!」と、私。
「ヤッタ!当てた!25歳ならイイ大人じゃん!めちゃくちゃ良い!問題ないって」
彼等はしつこかった。
「お兄さん達、誰の許しもらって声かけてんの?」
声がし、振り返る視線の先には祐哉の姿。
ドキッ
「祐哉…?」
「彼女達、俺達の連れなんで」
私達の肩を抱き寄せる。
「嘘!!さっき二人って……」
「そう言えって作戦。女二人でいたら声かけねー奴いないっしょ?」と、祐哉。
「そうそう。オマケに申し分ない容姿だし」と、友達
「それに、ちょっと賭けてて。彼女達に声掛からなかったら二人におごりって!俺達の彼女、自分達の魅力に自信ない発言してたから」
「そういう事!だから、ごめんね~。声掛けるなって言わないけど、うちらみたいな良い人間ばかりじゃないからタチの悪い相手には気をつけてね。お兄さん達」
私達を彼等から離す為、カップルのフリして移動する。
「ありがとう…」
「別に…つーか…そんな格好してるから声掛けられんじゃん!」
子供のようにイジケるようにふくれ、機嫌が悪くなる祐哉。
【可愛い】
そう思った瞬間だった。
「いや…でも…ほら、26歳の水着姿なんて興味ないでしょう?」
「興味あるとか無いとか、海に水着で来て声かけねー奴いねーだろ?ともかく!変な男に捕まんなっ!」
そう言うと、友達の人と思われる人と去った。
「心配してんだよ。彼でしょう?相変わらず友達以上進展してないんだね」
「あ、うん…」
「嫌いじゃないんでしょう?」
「うん。だからって好きって気持ちはないから」
「近すぎて気付いてないんじゃない?」
「えっ?ま、まさかっ!」
「案外、身近過ぎると気付かないものだよ」
「…………………」
「義成君と、より戻したものの、私は、彼が良いと思う!だって、嫉妬したりして愛されてる実感あるし、それって滅多にないよ。追われる恋が女性は幸せになれるって!」
「いやいや…私は…」
「彼は独占欲強いんだと思う。見てれば分かるけどさ、義成君より彼との事をもっと考えた方が良いと思う!あんたが彼に揺れ動かないのが分からない!あれだけ愛されるんなら絶対、手放すべきじゃないって!」
「…いや…」
「あっ!そうそう!今日、花火大会あるから彼誘いなよ」
「えっ!?いや…そんな…別にただの友達だし良いよ。大丈夫だし」
「二人きりになるチャンス!告白する、しないは、ともかくとしてデート誘うべし!」
「いやいや…良いよ!」
私達は騒ぐ中、一日を楽しんだ。
その日の夜―――――
「じゃあ、私は彼氏と出掛けてくるね。彼にメールしたら?祐哉君だったけ?」
「えっ!?い、良いっ!彼女いるだろうし」
「分かんないじゃん!」
その時だ。
私の携帯のメールが入ってきた。
「もしかして、噂の彼じゃない?」
ドキッ
「ていうか、だとしたら凄い確率のタイミングよね?
じゃあね」
「あ、うん…」
私はメールに目を通した。
ドキッ
『こんばんは!今、何してる?』
『今日、花火大会があるんだけど、一緒に行かね?』
祐哉からだ。
♪♪〜♪♪〜
『それとも彼氏と待ち合わせしてる?』
『連絡ちょうだい』
♪〜
『大丈夫だよ』
『友達は彼氏と外出して私は一人部屋にいるよ』
♪♪〜♪♪〜
『じゃあ出て来いよ』
『浴衣じゃなくていいから、俺の傍に隣においで』
『特等席、あいてるよ♪』
♪〜
『分かった。じゃあ、待ち合わせしようか』
♪♪〜♪♪〜
『いや、良いよ。俺が、そっちに行く』
『何かあったら遅いし、昼間みたいな事があったら、俺、マジ泣く。場所教えて』
私達はホテルのロビーで待ち合わせをし私達は出掛けた。
「ねえ、祐哉は、どうしてここに?」
「あー、バイトで来てたんだ」
「そうか…」
《祐哉、カッコイイし目立ってたんだろうな〜…って…やだ、私、何…》
グイッ
私の手を掴む祐哉。
ドキッ
「ビール飲まねー?」
「えっ?」
「やっぱビール片手に花火っしょ?」
「いや…でも…」
「あ、もしかしてビール嫌い?」
「ううん、大丈夫」
私達は、飲みながら花火を鑑賞。
私は、ほろ酔い気分になっていた。
「祐哉…」
「ん?何?」
「祐哉って…年下なのに、どうして27になる、おばさんが良いの?同じ位の子が話し合うでしょう?私はすぐに30になるから、結婚して子育てに追われるばっかで色気も何もなくなっちゃうんだよ」
「年上大好きだから良いと思うけど?それに、いくつになっても友霞は友霞じゃん!好きな人と一緒にいられて、ましてや二人の子供がいるなら尚更幸せなんじゃん!奥さんになったら、もっと幸せだってお互い自信持って言える関係って良くね?」
ドキン
「そうか…祐哉となら、本当幸せになれるかもね」
「幸せなれるじゃなくて二人で幸せになるんだって!子供出来たら、もっと幸せだって!だから、俺との事考えて♪」
「本当、祐哉は凄いね」
「えっ?」
「前向きな考えだし…逃げても逃げても追い掛けてくる。本当…凄…」
キスされた。
「…………………」
「火が消える前の花火に自ら歩み寄って花火を繋げていくから」
ドキン
「消えたらおしまいじゃん!終わらせない為には…追い掛けるしかないっしょ?」
「…祐哉…そうだね…」
「まあ…いつまで続くかは分からないけど…一応、線香花火は繋いでいけるけど…ずっとってわけにはいかねーからな…」
何処となく寂しそうな祐哉。
「今年は何回花火見れるかな?」
「それは、俺と?って事?それとも、花火だけ?」
「両方!」
「欲張り!」
「えっ?よ、欲張りって…」
クスクス笑う祐哉。
「笑わなくても良いじゃん!だって!私達って花火繋がりでしょう?」
「ある意味…でも…神様が引き合わせてるのかも」
「えっ?」
「どれだけの確率で俺達会ってんだろうなって思うし」
「確かに何かあった時とか、偶然の再会とか凄いよね?」
「それなのに、俺に揺れ動かないのって…」
「…それは…ていうか、花火終わっちゃうよ?せっかく見に…」
再びキスされた。
「花火も良いけど…こうして二人きりで会う機会ないから…特別な時間でも作っておかなきゃ、俺…」
私はキスをした。
「…ごめんね…祐哉…」
「なんで友霞が謝んの?」
「だって…」
「俺に応えられてないから?」
私達は、至近距離で会話をし、私は、ゆっくりと頷く。
「気にしなくて良いよ。まだ、花火の火は繋げていけるから…」
再びキスを交わす。
こうしていられる
2人の時間が
私は居心地良かった
『ずっとこうしていたい』
そう思った
―――― でも ―――――
最初で最後だった
だって―――――
♪♪〜
携帯の着信が入る。
ピッ
「あっ、電話……ええーーっ!良い所だったのに…」
「バカ…」
祐哉は、もう一度キスをすると電話に出た。
「もしもし?みお?」
ズキン
《女の人…》
「どうしたの?今?友達と一緒。女の子。いや…女の人が合ってるかな?それで、何?ああ、うん、分かった。後で」
ピッ
携帯を切る祐哉。
「ごめん」
「ううん」
聞きたかった
『誰?』
でも……聞く権利なんかない
聞く事もないまま
この日の花火大会を機に
幕がおりる
「じゃあ」
「うん…それじゃ」
「付き合ってくれてサンキュー!」
「ううん、こちらこそ」
帰り始める祐哉。
「祐哉」
「何?」
「…ううん…何でもない…ごめん…おやすみ」
私は背を向けホテルのロビーの中に入って行きはじめる。
グイッと引き止められ、背後から抱きしめられた。
ドキン…
「友霞…大丈夫?」
「えっ?何?どうしたの?大丈夫だよ」
「なあ…早く俺のものになってよ…友霞…」
ドキン…
「悪い…おやすみ」
ドキッ
祐哉は抱きしめた体を離すと私を振り向かせ、オデコにキスをした。
♪♪〜♪♪〜
『本当に大丈夫?』
『途中から違う気がしたから心配で』
ドキン
祐哉からメールが入ってくる。
♪〜
『ありがとう。大丈夫だよ』
『気をつけて帰ってね』
追いかければ
まだ間に合う
だけど
追い掛ける勇気がなかった
お互いに距離が
離れていく
いつしか私の心には
恋の導火線が
大きく大きく
線香花火から
変わり始めていたのかもしれない
消えてなくなってしまう
線香花火は
手に持てない花火に
変わっていた
手の届かない
大空に飛んで行ってしまう
そう……
まるで……
音を立てて
一瞬で消えて
なくなってしまう
ロケット花火のように……
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