第9話 元カレ
♪♪〜
『祐哉の好きな人って友霞さんだったんですね』
「…あきらちゃん…」
あきらちゃんからのメール。
彼は彼女に
自分の胸の内に秘めた想いを
伝えたのだろう……
好きな人の存在を……
騙していたわけでもないけど
凄く申し訳なく思うのは
何故なのだろう…?
♪♪〜
『友霞さんは祐哉への想いはどうなんですか?考えてあげてください』
『正直ムカつくと思ったけど、でも、友霞さんなら分かる気がします』
『祐哉の事、お願いしまーーす♪』
『私も次の恋、またすぐに見つけちゃいました~♪』
「やっぱり可愛いから縁が切れないんだね…」
ある日の夜――――
「友霞」
名前を呼ばれ振り返る視線の先には元彼の姿。
「義成」
「久しぶり!」
「そうだね?」
「ちょっと寄ってかない?都合どう?」
「それは良いけど」
「じゃあ、行こう」
私達は出掛ける。
そして――――
「…義成…平気…?飲み過ぎじゃない?」
「なあ、俺ん家、来ない?」
「えっ!?」
「ちょっとさ、ゆっくり話したい事があるんだ」
「えっ?…でも…」
義成は私の手を掴み連れ出す。
「義成」
タクシーを拾い私を乗せた。
向かった先は義成の部屋。
「今、何か飲み物つくる」
キッチンの方へと行った。
「…部屋…変わってない…」
そして、コーヒーをつくり戻ってくる。
「悪かったな。強制的に連れてきて」
「ううん…」
「実はさー、彼女にフラれた所。それで、お前見掛けて声かけた」
「…そうなんだ…」
「なあ、俺の傷癒やしてくれないか?」
「いや…癒やしてくれって言われても無理だよ」
「だよなーー。はあぁ〜…それより、お前全然変わってないな」
「えっ?」
「彼氏とか好きな人いないの?」
「いないよ」
「ふーん。お前みたいなイイ女放っておく人いないんじゃないの?」
《とか言ってフったくせに》
「ま、俺、フッたんだけど」
「そうだよ」
「この際、もう一度より戻そうかな?」
「えっ?誰と?」
「友霞と」
「えっ?」
グイッと引き寄せキスをした。
「ちょ、ちょっと!」
「悪い…でも、考えてくれないか?俺との事」
「えっ?」
「………………」
よりを戻そうって事?
でも…
それは彼女にフラレたから
寂しさからある
元彼女(カノ)の存在を利用する魂胆
心残りじゃない限り
私はよりを戻したいとは思わない
成り行き任せ?
「悪い…このまま一緒にいたら、お前の事…」
「えっ!?断る!そんな気分じゃないし!じゃあね!」
「送ろうか?」
「結構です!部屋に押し掛けられたらかなわないし!」
私は足早に帰る。
そして、色々と考えるも私は何故か祐哉にメールを送っていた。
♪♪♪〜
『祐哉、起きてる?』
『良かったらメールもらえないかな?』
♪♪〜♪♪〜
『良くないからメールあげない』
『なーんて♪愛しのユウヤ。ミズキリユウヤだよー♪』
『何、何?どうしたの?』
『マイ スイート ハニー トモカ♪』
♪♪♪〜
『自分で恥ずかしくないの?』
♪♪〜♪♪〜
『まあ抵抗はあるけど、友霞だから別に自分曝(さら)け出すの良くね?』
『ありのままの自分出せなきゃ駄目じゃん』
♪♪♪〜
『そうだけど』
♪♪〜♪♪〜
『で?どうしたの?友霞からメールって珍しくね?つーか…祐哉って呼び捨てされて、めちゃくちゃ嬉しいんだけど』
気付けば呼び捨てにしていた。
言われるまで私は気付かなかった。
♪♪♪〜
『いや…ちょっと…』
♪♪〜♪♪〜
『ちょっと待って!なんか嫌な予感しかしねーんだけど…男絡みじゃね?』
♪♪♪〜
『いや…えっと…ごめん…やっぱり…いいや』
♪♪〜♪♪〜
『やっぱり…?図星かよ…』
♪♪♪〜
『うん…だから良い。ごめん…またね』
その後、メールは、すぐに来なかったけど……
♪♪〜♪♪〜
『話せば?つーか、俺の気持ち知って話すつもりなんだろうけど…逆に気になるから話してくんね?』
『でなきゃ、部屋に押し掛ける』
♪♪♪〜
『それは困る!』
♪♪〜♪♪〜
『男と一緒じゃねーんだろ?』
♪♪♪〜
『それはない!』
『さっきまで一緒だったけど』
「いや…これは辞めよう…」
♪♪♪〜
『それはない!』
♪♪〜♪♪〜
『良かった…一緒だったら場所突き止めて連れて帰る!』
『友霞の部屋なら追い出す勢いだからな!』
♪♪♪〜
『凄い勢いなんだね』
♪♪〜♪♪〜
『当たり前だろう?友霞は、俺の好きな女性(ひと)なんだから何かあったら遅いから!』
♪♪♪〜
『そっか。ありがとう』
♪♪〜♪♪〜
『それで?話せよ。一人で悩んでも答え出ないっしょ?仕方なく聞いてやる!』
「仕方なくって…」
私は渋々、話す事にした。
♪♪〜♪♪〜
『よりを戻す?それフラレた勢いの寂しさ紛らわす為の元カノ利用じゃねーの?』
♪♪♪〜
『やっぱり…そうだよね…』
♪♪〜♪♪〜
『それで?友霞的にはどうなの?別によりを戻すなとは言わねーけど…いや…やっぱ駄目!』
♪♪♪〜
『どっち?ていうか…ごめん…佑哉の気持ち知ってて』
♪♪〜♪♪〜
『本っ当!そうだ!友霞の所に行って引き止めてーくらいなんだけど!』
『まあっくり考えな。返事はすぐにじゃないんだろうし』
『何かあったら傍にいてやるよ!ト・モ・カ・♪』
年下で
生意気で
ムカつく奴と思うけど
一人の男として
彼の存在は
私の心の奥にいたのかもしれない
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