恋は花火 〜 夜空に輝く華のように 〜

ハル

第1話 恋は花火

私、綾瀬 友霞(あやせ ともか)。25歳。


私には付き合って5年の彼氏がいる。


彼の名前は、田渕 義成(たぶち よしなり)。27歳。


お互い結婚を意識しはじめる今日この頃のはずなんだけど――――




「ねえ、義成。今度、花火大会あるでしょう?行くよね?」


「花火大会?そうだなー。仕事の都合が付けば行けると思う」


「…そうか…」





ある日の夜。




「…花火…」



若い子達が河原で花火をして、はしゃぎ騒いでいる姿が目に止まり車を停める。




「…私も…良く友達としてたっけ?」




10代の頃の私達に遡る。




「ほら!友霞、火付けなよ」

「えっ…えーーーっ!」


「負けた奴が火、担当だろう?」と、彼氏




当時付き合っていた彼氏や女友達と騒いでいた。





そして――――



ある日の夏祭り―――――





     ピュ~〜〜〜……




ドーーーーン……





      バーーーーン……






夜空に舞い上がる花火。





「友霞…」




グイッと抱きしめる彼氏。




ズキン……





【……ごめん……

     ……他に好きな子が出来た……

             ……別れて欲しい…】







耳元で言われた。



その言葉がこだまする……



我慢して涙こらえた花火の夜。


今の彼とも花火大会に足を運ぶ度に蘇る記憶。






プシューーーー……



現実に引き戻される花火の音。




「ほらほら!次、次!一個じゃ面白くねーだろ?」




騒ぐ若い子達。



私は、ゆっくりと車を走らせ、そこから去り始める。




「祐哉(ゆうや)、どうした?」

「…えっ…?あー…いや…」



俺は一台の車に目が止まっていた。


彼女は一体…?




「………………」




だけど――――



俺にとって彼女は……



違う意味で特別だった……



そう――――



その時は


俺の人生の一部に過ぎなかった……





そして……



線香花火のように



ゆっくりと……



恋の花火が



つき始める……

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