第30話 異世界の夏祭り①(貼紙)
夜に浮かぶ赤提灯を前に僕は腹の虫を鳴らした。
「貧乏人は来んな」
同級生の笑い声を背に肩を落とす帰り道。
薄汚れた貼紙を見つけた。
『タッチして』
手を伸ばせば紙に吸い込まれ──抜けた先には七色の空。
赤提灯が飛び跳ね焼きそばの川が流れる。
「祭りだよ」
唐揚げを食べる鶏に誘われ僕は駆け出した。
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