第26話 花火の標本

「花火大会行きたいなぁ」


唇を尖らせると彼氏が夜の神社に案内する。


どこからか花火の音。


見上げれば御神木の枝が色とりどりに光る。


「何これ」


「花火の標本」


彼は手持ちの線香花火に火をつけ口からシャボン玉のような膜を吐き出した。


火花が包まれふわふわと飛んで枝にぴとり。


輝く花のようだった。

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