第10話 何者でもない僕に『恋人』という名がついた(海月)

水槽の中を漂う海月。


様々なライトに照らされ赤、黄…と色を変える。


「海月好きだね」


「透ける体が美しくて」


「こんな感じ?」


水が形を持ったように透明感を増す彼の体。


「海月だったの?」


「何かになり損ねたんだ」


「少なくとも私の恋人ではある」


照明でピンク色に染まった彼の頬に手を添え口付けた。

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