第8話 砂の城(さらさら)

さらさらと砂が流れ落ちていく。


天井から壁から。


目の前に横たわるあの人も砂に還っていく。


主人を失った城は一刻も持つまい。


『君は生きなさい』


貴方の最後の言葉。


どうか共に砂に沈むことを許して。


親子ほど歳が離れていても確かに私は──。


乾いた唇にキスをした瞬間、床が崩れ視界は闇に包まれた。

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