第2話 そして、伝説のヤリマンへ

「神様、神様、どうか、わたしを、お助けください、パン、パン」


「うん、呼んだ?」


 ま、まさか、わたしの願いが届いたの?


 黒いゴスロリドレスに身を包んだ可愛らしい少女が部屋の片隅に置かれている机の引き出しから、ひょっこり顔を出した。少女は青い髪を肩までのばし、綺麗な青い瞳でじっと私を見ていた。なによりも驚いたのは、頭部だ。彼女には可憐でキュートな黒いネコミミが生えていた。彼女の容姿からして人間ではないはず。身に着けている服からしてこの世界では場違いだ。この世界にはゴスロリドレスなんてないんだからね。


「にゃん、にゃん、にゃん~♪ 私は猫神様なのです。てめぇが、死ンデレラなのですか。おめぇの願いをかなえてやるのです。さぁ、3分待ってやるから願いを言うのです」


「お願いします、猫神様!!」


「くぁwせdrftgyふじこlp? むむ、こいつ何をいってやがるか、さっぱりなのです。まじ、分かる言葉で、しゃべりやがれなのです。これでも食べるがいいのです」


 ドレスのポッケから菓子袋が現れた。こんにゃく畑のって、どこかで見たことあるような。わたしは猫神様に猫の形をした、こんにゃくゼリーを無理やり食べさせられた。オレンジ味で、とってもなつかしい。涙がでちゃう。出来れば違う味のものも欲しい。だけど、猫神様は、こんにゃくゼリーが入った菓子袋をドレスのポッケにしまってしまった。


 あの小さなポッケからどうやって、出たのだろうか、いや、今はそんなことを考えている場合ではない。


「猫神様、わたし、このままだと殺されてしまうんです、お願いします。から、私を助けてください」


【猫神様、わたし、このままだと殺されてしまうんです、お願いします。誰であろうと殺しますから助けてください】→猫神版、翻訳こんにゃく ver1.09


 私は懇願した。


 この可憐でキュートなネコミミをつけた神様にすべてを、いや、人生を預けた。私はやる、やってみせるよ。ぜったいに助けてもらう!!


(なんか、こいつ、目が血走って、めちゃくちゃ怖いのです。いきなり、なんでも殺るとか。金銀財宝、魚ならまだしも、生贄を捧げようとするヤツなんて初めてなのです)


「わたし、から」


【わたし、誰であろうと殺しますから】


「えっ、何でも殺ルのですか?」


「はい、。だから猫神様、私に知恵とお力をお貸しください」


【はい、誰であろうと殺します。だから猫神様、お願いします。もっと殺してヤりたいので私に知恵とお力をお貸しください】


「まじなのですか? 本気でルつもりなのですか」


「はい、まじです、。もう喜んで、歓喜しながら、私のできうるかぎり、とことんヤっちゃいます」


【はい、まじです、誰であろうと殺します。もう喜んで、歓喜しながら、私のできうるかぎり、とことん皆殺しにしてやりたいです】


 私はこれでもかっていうぐらい、猫神様にいい笑顔をみせた。なぜか、顔を引きつらせる猫神様。笑顔が足りないのかな、スマイル、スマイル、天使のスマイル、ニコリ。


「Σ(=゚д゚=lll)」


 さらに、猫神様の顔がこわばってしまった。

 

(こえええええのです。こいつはイカれてやがるのです。まさに死を振りまく死ンデレラなのです)


「顔に似合わず、なかなかイカレタ性格をしてやがるのです。そんなイカレタやつに、ぴったりな訓練施設があるのです。お前をリマンとして特別枠で推薦してやるのです」


『あ~あ~、てすてす、きこえますかぁ~、転移先を間違ってる。シンデレラはこの世界にいないし、だから、早く戻ってきて!!』


「えっ、まじなのですか!!」


 急にどうしたんだろう。なぜか、猫神様は慌てふためいている。


「お願いします、猫神様!!」


 すると、おやっ、猫神様の様子がおかしい。


 なぜか、私を見て、しどろもどろしている。

 

 目がすっごく泳いでる。


 きょろきょろ、ぼへー。


「あ~、あ~、チ、チガウヨ ワタシハ カミサマジャナインダヨ~? ただのネコムスメだよ~? おい、きたろう、メシ、まだぁ?」


 おいおい、それはないでしょうが。


 ふざけてるの?


 まさか、嫌な予感がする


「たしかにネコムスメだけど、そもそも目玉親父のマネしてる時点で間違ってるような、いやいや、そんなことより、あなた、さっき、自分でいったじゃない、自分は神様だって、おめぇの願いをかなえてやるって、まさか、神様が約束を破るっていうの?」


「AHAHAHAHA、ナニイッテヤガルンダ テメェノ キキマチガイナンダヨ、オレ カエル マタナ (*´Д`*)ノシ」


 猫神様はくるっと腰を回転させてーー


「にゃあああああああーーーー!!」


 突然、ダッシュして、机の引き出しに逃げ込もうとした。


「させるかぁ!!」


 私はウサギに飛び掛かるライオンのように猫神様の背中に飛びついた。


 がるるるるるるるぅ!! 逃がさない!!


「いやあああああ、見捨てないで!! 本当にから!!」


 逃げられないように猫神様を羽交い締めしてヤった。


「しつこいのです、まじ、はなせなのです!!」


 猫神様の抵抗が激しくなった。そこで私は羽交い締めからヘッドロックに切り替えた。


 それからぎゅっと首をしめてヤった。


「ちょ、首をしめるのをやめるのです。まさか、おめぇ、わたしをるつもりなのですか、ぐぇ、死ぬ、死んでしまうのです」


 このチャンスを逃してなるものか、たとえ猫神様が死んでも、絶対に離さない。


「うぎぃ、た、ふけて、しぬぅ、ころさないで」


 そんな猫神様は泡を吹いてギブギブと叫んでいた。


 そして、ぐったりした猫神様から【猫の穴】の招待チケットを授かった。


「ニンゲンだけでなく神までろうとするなんて、こんなイかれたやつは初めてなのです。そ、それをおめぇにやるから、私を解放するのです。そんなにりたければ、ここに行って、あとはてめぇの好きに、何でもるがいいのです」


 猫神様は、こんな世界、二度とこねぇと言って去って、いや、逃げていった。

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