第14話
オヤジに説教をしていたら、美沙が泣き出した。
「ああ、ごめんごめん……どうした?…オムツじゃないし、ミルクはまだだよね…」
こういう時はとりあえず抱っこだ。美沙は二人がかりでかまってもらっているのがわかるのかもしれない。オヤジは私の横で、美沙に見えないにもかかわらず、ベロベロバァーと一生懸命やっている。
「赤ん坊ってさ、とにかく泣くだろ、かまってほしいんだよね、きっと。世界の中心は自分だと思っているよな……」
「俺も抱っこしたいなあ…」
「自分の子供、もっと抱っこしとけよな。あっ、そうだ。言っとくけど、赤ん坊の抱っこって、見てるほど、簡単じゃないよ。結構、疲れる。」
「そうなのかあ。」
「そこまで、素直に言われたらやりにくいわ。」
美沙が落ち着くと、オヤジは部屋のなかをうろうろして、冷蔵庫に貼ってあるメモをひとしきり見ている。
「もうすぐ、美沙の四ヶ月健診なんだな。どうするんだ?」
「どうするって、そりゃあ、連れて行くじゃん。」
「お前、一人で?」
「当たり前でしょうが。」
「美沙を連れて、荷物も持ってか…」
「一ヶ月健診はまーくんがついてきてくれたけど、もう、首、すわってきてるもん。ママチャリもあるし。」
「駄目だ!何を考えている!横着するんじゃない!」
初めてオヤジに叱られた。
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