第5話 最後のecho

今日の相手はいない。

本当にいない。

ドタキャンってやつだ。

本当なら今頃19歳の女の子を抱いていたはずだったのに。


ふぅ。

あ、echo切れちゃった。

煙草が無いとどうも口寂しい。

こういうのが煙草中毒ってやつなんだろうなぁ、

さてさて、煙草も酒も女の子もいないのに残り2時間とちょっとをどうやってすごそうか。ホテル代は払っちゃったんだからきっちり時間いっぱい使いたい。

下にあるコンビニで何か買ってこようか。

んー、暑いし嫌だな、めんどくさい。

テレビもたいして面白くないしな〜、スマホの液晶を眺めたって悲しくなるだけだし。

あ、あのOLちゃんかわいい。

あ、ラブホ入ってった。

まじかー、あんな清楚な顔してんのに。

あそこの廃病院いつまであるんだろ。

あそこ幽霊出るとか言われてるけどほんとなのかな。

俺、死んだら幽霊になんのかな、そしたらラブホとかに住み着いちゃったりするのかな、それは嫌だなー。

まず俺ちゃんと死ねんのかな、こんな生活してたらいつぽっくり逝くかもわかんないよな。

いつ女の人に背中刺されるかもわかんないんだし。男にも刺されそうだけど。

死にたく無いなー、でも、はやく楽にはなりたいかもな、生きるって難しいし。

正直なところ心残りもたいして無いし、自殺する?

いや、やっぱり自殺はやだ。

自殺は本当に行き場がなくなった時の最終手段だし、そう簡単にやっちゃだめだ。

やだやだやだ、こんなこと考えていたくないわ、俺馬鹿でいたい。

やっぱり煙草か酒がほしい、まあ、女の子でもいいけど。

暑いしめんどくさいけどコンビニ行こう。


決心した瞬間だった。

前にあるホテルから何かが落ちた。

最初はなにが落ちたてきたかわからなかったが、少ししてわかった。

あーあ、最終手段を使っちゃったか。

それともちょっとした逃避行のつもりだったのかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る